特定外来生物で観光振興!
ちょっとげんなりする記事*1を読んだ。
和歌山市沖の要塞(ようさい)の島・友ケ島をPRしようと、ゆるキャラ「トモガシカ」を使った観光ポスターを和歌山市観光課が作成した。興味をかき立てるコピーにキュートなキャラ、青い海に囲まれた島の写真が目を引く。「訪れた人が巡る中で、トモガシカに出会いリフレッシュしていく様子を表現した」という。
【略】
観光目的で放され、野生化したシカやリス、クジャクが生息している。シカは同課に残る資料によると、55年ごろ運び込んだタイワンジカ10頭が繁殖。現在は約50頭いる。「トモガシカ」はそのシカをモチーフにしており、胴体は砲台跡のれんが模様、頭のてっぺんに灯台を付けている。08年に市職員の松井則行さん(35)がデザインした。
タイワンジカは特定外来生物だ*2。同じく特定外来生物であるアライグマをシンボルキャラクターとした十八銀行という事例もある*3が、民間企業と公共団体とではしでかしたことの重みが違うのではないかと思う。
なお、タイワンジカが特定外来生物だからいけないのだという単純な話ではなくて、観光目的で導入した動物が野生化してしまったという負の歴史を清算することなく、さらに観光振興のために用いるという発想が全く駄目だと心底思う。従って、シカのかわりに特定外来生物ではないクジャクを使ったとしても本質的には同じ道義的問題を抱え込むことになるだろう。「うさぎの楽園」に住む侵略的外来種アナウサギ - 一本足の蛸で取り上げた事例をふと思い出した。