青森へ行きたしと思へども青森はあまりに遠し

最近、何かと多忙で、博物館・美術館へ行く機会がめっきりと減ったのだが、先日、知人に誘われてあべのハルカス美術館ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクションをみにいったところ、バルテュス展のチラシが置いてあり、これはいかなければ、と思っているところだ。東京都美術館での展示が6月22日で終わり、明日から京都市美術館での公開が始まる。バルテュスの作品はまとまった形で鑑賞したことがないので、大いに楽しみにしている。
……と書いたところだが、実は特定の画家の回顧展というのはあまり面白くないことが多い。誰が企画しても工夫の余地が少なく、いかにして代表作をかき集めてくるかが勝負、という感がある。もっとも面白くないのが「○○美術館展」で、先日、あべのハルカス美術館でみたのはまさにそれだったのだが、展覧会を開催する館のスタッフの趣味や個性が全く感じられなかった。そりゃ当たり前だ。
いちばん好きなのは、展覧会の企画を美術館の学芸員が行って、何らかのコンセプトに基づいて作品を選択し、展示の構成にも工夫を凝らしたものだが、そのような展覧会は概して地味で、新聞社やテレビ局などバックアップがないことが多いため、なかなか目につかない。
さて、バルテュス展に関していろいろ関連情報を調べていたところ、こんな記事を目にした。

これを読んで、美少女の美術史という展覧会が無性に気になった。行きたい。みにいきたい!
だが、青森は遠い。一瞬、せめて東京なら……と思ってしまった。

ということで、この展覧会、おかげさまで前評判も上々なのですが、Twitterでは「どうして東京でやらないの? 」という反応もチラホラと。青森、静岡、島根の3つの県立美術館の共同企画だから、東京に巡回するわけないし、そもそも東京の美術館に入ってもらおうという意識も我々の中には皆無でした。東京ではすべての情報が手に入り、あらゆるイベントも必ず行われる、と考えるのは無意識のうちに東京を基準とし、地方を低く評価してしまう思考や態度につながりかねません。僕らはそれを「トウキョーセントリズム」と称していますが(笑)、ともあれ東京では絶対やるもんか! くらいのへそ曲がりな展覧会がたまにあってもいいですよね。でなければ東京の価値に追従するだけの地方になってしまいます。そこから地方の魅力など生じるはずもありません。

東京一極集中に反感をもっていても「東京で開催してくれたなら」と思ってしまうのが、なんともかんとも。我ながらお恥ずかしい限り。