路線価に図書館効果?

補足説明

本文冒頭のリンク先に、本文(と追記)を書いた後に変更があったので、混乱を避けるため補足説明しておきます。
まず、本文では「利用登録しないと全文を読むことができない」と書きましたが、今は記事の全文が読める状態になっています。また、記事の見出し*1が変更され、「TSUTAYA図書館効果、路線価に 武雄市、県内トップ奪還」となった後、さらに変更されて「TSUTAYA図書館効果、路線価に 武雄市、管内トップ奪還」となっています。以上、お含みのうえ本文をお読みください。

本文

図書館効果、路線価にも TSUTAYAと連携の武雄市 視察相次ぎ宿泊客増:ニュース:九州経済:qBiz 西日本新聞経済電子版 | 九州の経済情報サイトという記事がある。利用登録しないと全文を読むことができないので見出しと冒頭しか読んでいない*2のだが、無理して武雄市を持ち上げているような印象を受けた*3。というのは、実際に路線価図をみると、武雄市図書館の集客効果が路線価の底支えに寄与しているとは考えにくいからだ。
上の記事で言及されている武雄税務署管内の最高価格地点付近の去年と今年の路線価図を見比べてみよう。

どちらの図でも最高価格地は「53F」となっている*4ので、1平方メートルあたりの価格は5万3000円で横ばいとなっている。佐賀県内の5税務署管内の最高路線価をみると武雄市以外は下落しているので、横ばいは上出来だとも言える。だが、よくみると去年はJR佐世保線に沿っている道のほか、その路線に交わっている別の道沿いにも最高価格地があるのに、今年は最高価格地の範囲が縮小している。さらに、温泉街付近の他の道路沿いは軒並み価格が下落している。
さらに2つの図をよくみると、今年かろうじて5万3000円のまま踏みとどまった区間の道路の形が違っている。道路拡幅が行われたのではないだろうか? 一般に、道路が整備されれば隣接する土地の価格は上がるので、それが路線価横ばいの主な理由ではないか?
そもそも、図書館効果が路線価にあらわれるなら、真っ先に図書館付近にその効果が出るはずだ。そこで、武雄市図書館付近の路線価図をみると、

去年は5万円だったのが今年は4万8000円と下落しているではないか。
やはり、図書館の集客効果による路線価底支え効果などなかったのではないだろうか?
西日本新聞の記者がなぜこのような記事を書いたのか大いに疑問が残る。

追記

上の記事を書いてから県内路線価、最高は佐賀市の駅前中央通り/佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun :佐賀のニュースという記事をみつけた。実際に鑑定評価に携わった不動産鑑定士のコメントがあり、納得。

*1:当初の見出しは路線価にまで波及 : 武雄市長物語に掲載されている新聞切り抜きと同じ。

*2:つまり、利用登録をする気がない。

*3:個人の感想です。

*4:路線価図の味方については財産評価基準書 - 路線価図説明|国税庁を参照されたい。