穴のあいた記憶
- 作者: エラリイ・クイーン,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/11
- メディア: 文庫
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「アデスタを吹く冷たい風」は同題の短篇集にも収録されている。ポケミスだ。
- 作者: トマス・フラナガン,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1961/07
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ところが「どうやって密輸したのかがわからない話」ということ以外、いったいどんなストーリーだったのか全く覚えていない。そこで、『黄金の13/現代編』を発掘したのを機に再読してみようと思ったのだが、いざページを開いてみると全く未知の世界としか思えない風景が広がっていた。あ、あれ?
最近、記憶力がどんどん衰えているのは自覚しているのだが、それにしてもこれほど記憶にない展開になるとは。読んでも読んでも全く思い出せない。これはもしかしたら「アデスタを吹く冷たい風」は未読だったのでは……。
もしかすると、ポケミスの『アデスタを吹く冷たい風』を買ったとき、冒頭部分の1ページが2ページを読んで、重苦しそうだった*3のでいったん読むのを中断してそれっきりになっていたのかもしれない。読めば絶対に面白いに決まっている、と確信していても読書意欲が低下しているときに読めないこともある。
今回は幸い読書意欲が高まっているときだった*4ので、簡単にすらすらと読めた。トリックの核となるアイディアは、よく似た事例*5を知っていたのですぐに気づいたが、これは単純なトリック小説ではない。最後まで興ざめすることなく楽しめた。
「アデスタを吹く冷たい風」に関して、もう一つ思い違いがあった。それは、この小説の舞台がイタリアだというものだ。なぜ、そんな思い違いをしたのかといえば、この小説の別題が「北イタリア物語」だと思い込んでいたからだ。「アデスタを吹く冷たい風」は架空の国が舞台となっており、イタリアとは関係がないし、もちろん「北イタリア物語」というタイトルがつけられることもない。「北イタリア物語」は『アデスタを吹く冷たい風』に収録されている「玉を懐いて罪あり」の別題で、『密室殺人傑作選』に収録されている。
密室殺人傑作選 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ (1161))
- 作者: ハンス・S・サンテッスン,山本俊子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1985/02
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- 作者: ハンス・ステファンサンテッスン,Hans Stefan Santesson,山本俊子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/04
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読んだ本と読んでいない本の記憶がごちゃまぜになってどんどん混乱しあげくに、どんどん記憶に穴があいて、最後は死んでしまうのだなぁ、と思うと背筋が寒くなる……ということもなく、漫然と読書を続けているのだが、これも老いた証拠かもしれない。