悪魔は細部に宿る、かつ、神は細部に宿る、ならば、悪魔と神は細部に宿る

「悪魔と神は細部に宿る」。アジア・ゲートウェイを強化していくために日本が行わなくてはいけないことは多い。多面的に細部にこだわって一つひとつ改革を進めて行かなくてはいけない。この戦略会議においても、そうした検討を詳細に行ってきた。その成果が、「最重要課題10」、「重点7分野」である。多面にわたって詳細な政策課題のリストが掲げられているが、それだけ日本が取り組むべき課題は多いのである。

これは首相官邸ホームページアジア・ゲートウェイ戦略会議のコーナーに掲載されたアジア・ゲートウェイ構想【PDF*1】の4ページめ*2にある文章だ。ここで「悪魔と神は細部に宿る」というフレーズが何の説明もなしに出てくる。こんな言葉は寡聞にしてこれまで見聞きしたことがない。
「神は細部に宿る」なら、「芸術作品や工作物の価値は細部にどれだけ手をかけているかによって左右されるので、決して手を抜いてはならない」という意味の警句として用いられているのを何度か見かけたことがある。調べてみると、誰が言い始めた言葉なのかもはっきりしない*3が、ともあれ現に流通しているフレーズである言葉には違いない。で、上の引用文から「悪魔と」を抜いて読めば、何となく意味がわからないわけでもない*4のだが、そこに「悪魔と」が入ると途端にわけがわからなくなる。
他の用例を調べてみたが見つからず、「悪魔は細部に宿る」と「神は細部に宿る」を合成したものかとも考えたが、「悪魔は細部に宿る」の意味自体がよくわからない。そもそも、なんでこの種の文書に神だの悪魔だのが出てくるのか、全く見当がつかない。
たかがひとつのフレーズで小一時間頭を悩ませたが、後で考えてみると、そんな細部はどうでもいいのだった。仮に悪魔と神が細部に宿るのだとしても、すべての細部に悪魔または神が宿っているわけではないだろう。少なくとも「悪魔と神は細部に宿る」というフレーズには何も宿ってはいまい。

(参考)

*1:googleによるHTMLヴァージョンはこちら

*2:文書内のページ数でいえば3ページ。

*3:こことかこことかここなどを参照されたい。

*4:でも、この言葉がなくても意味は通るし、そっちのほうがすっきりしていていいのではないかと思う。