暫定版『狼と香辛料』聖地巡礼ガイド

はじめに

昨日予告した狼と香辛料*1聖地巡礼ネタの与太話を書くことにしよう。
当然のことだが、以下の文章はすべて独断と憶測と妄想の産物であり、公式設定とは全く何の関係もないので、作者や出版社に問い合わせるのはご遠慮いただきたい。

狼に会いに行こう

ヨイツの森まで行ってきました。











ウソです。


ただの秩父の山中です。






週末に秩父三峯神社まで探しに出かけたんですが、よく考えたらホロはニホンオオカミではない気がしてきました。






そうか、だからあれだけ探しても会えなかったんだ!

この記事を読んで初めて知ったのだが、三峯山にある秩父宮記念三峯山博物館では、現在、「ニホンオオカミ展」が開催されているらしい。

国内外7、8例目と認定され注目された、ニホンオオカミの毛皮を再公開、同時にカナダ産、モンゴル産等のオオカミの毛皮も展示しています。

ニホンオオカミとの違いを確認ください。

又ロビーでは三峯神社に奉納されたオオカミの絵や神犬像、版木等の展示と共に、ニホンオオカミを追い求める人達が、秩父、九州で撮影した動物写真を展示しています。

いつから開催されているのか、また、いつまで開催されるのかは不明だが、埼玉県近辺に住んでいてニホンオオカミの毛皮を見たい人は一度訪れてみるのもいいのではないかと思われる。
実は、このあたりには今年の3月に行ったことがあるのだが、目的が秩父鉄道乗りつぶしだったため、三峰口で引き返してしまった。関西に住んでいると、秩父などなかなか行く機会はない。ちょっと残念なことをした。
関西では和歌山県立自然博物館ニホンオオカミの剥製がある。ただし、今は公開していないようだ。
ニホンオオカミの剥製は国内にあと2体あり、それぞれ国立科学博物館東京大学農学部に保管されている。国立科学博物館の剥製が現在公開中なのかどうかはネット上では確認できなかった。また、東大農学部の剥製は5月と6月の2ヶ月間展示されていたようだが、たぶんもう片付けられてしまっているだろう。もっとも、もし東大で太陰暦を採用しているなら、まだ間に合うかもしれない。
ニホンオオカミの剥製を見て、「あーホロだ! ほろーん」などと言ってはしゃぐことができる人たちは幸いである。天国は彼らのものである。だが、俗世間に生きる多くの人々は、きっと剥製では満足できないことだろう。それに、ホロはたぶんニホンオオカミじゃなくて、ヨーロッパオオカミだから。
ヨーロッパオオカミはまだ絶滅していないので、生きて動く姿を見ることができる。日本国内でも、たとえば多摩動物公園にはヨーロッパオオカミの家族が住んでいる。去年、京王動物園線を乗りに行ったついでに見てきた。

 多摩動物公園のヨーロッパオオカミの場合、オスのアルファオオカミは、現在8歳のロボ、メスのアルファオオカミは10歳のモロです。残りの8頭はこの2頭の子どもたちで、3歳のポロ(オス)とモロ(メス)、歳のロン(オス)とチロ(オス)、もうじき1歳になるロト、ロイ、セロ(いずれもオス)とマロ(メス)です。

 3年続けて繁殖に成功しているのですが、今年もまもなく赤ちゃんが産まれそうです。出産が近づくと、母親はお腹がふくらむだけでなく、乳首周辺の体毛が抜けます。これは、生まれた子どもが乳を飲みやすくするためのようです。

このあと、赤ちゃんが生まれたというニュースが掲載されていないのが気がかりだが、もしかして想像妊娠だったのだろうか? 多摩動物公園のオオカミの名前はみんな2文字で「ロ」がつくので、今度の子供は当然「ホロ」だと期待していたのだが……。

ヨーロッパへ行こう!

さて、『狼と香辛料』の舞台は架空の異世界*2だが、そのモデルが中世ヨーロッパ、特にドイツ近辺であることはよく知られている。ホロとロレンスは北へと向かっている*3ので、バルト海沿岸を通って最終的にはフィンランドあたりへと至るのではないかと思われる。
その界隈を丹念に尋ね歩けば、リュビンハイゲンやケルーベなどのモデルとなった都市を発見することができるかもしれない。
しかし、そのためにはまずヨーロッパに行かなければならない。
そんな余裕は金銭的にも時間的にも精神的にも全くないので、この項はこれにて終了。

日本にもあるヨーロッパ

よく考えれば、支倉凍砂本人もヨーロッパに行ったことはなかったはずだ。今とっさにソースを示すことはできないが、雑誌のインタビューか何かで海外旅行の経験がないと語っていたのを読んだ記憶がある。
そうすると、『狼と香辛料』の舞台のモデルは現実のヨーロッパそのものではなくて、日本国内に再現されたヨーロッパっぽい何かではないかと推測できる。
たとえば、東京ディズニーシーはどうだろう? 入口を入ってすぐに見える池の周りはどことなくヨーロッパ風で、特に池の向かい側は中世っぽいので、脳内麻薬がほどよく分泌されていれば、そこを『狼と香辛料』の「聖地」だとみなすこともあながち不可能ではないかもしれない。
だが、ウィキペディアの記述によれば、このあたりは南ヨーロッパの地中海沿岸をモデルにしているようで、いくらこの記事が独断と憶測と妄想の産物だといっても、ここが『狼と香辛料』の舞台のモデルだと言い切ってしまうのは、ちょっと気がひけるのも確かだ。たぶん作者本人が訪れたことがある*4場所だけに、少し残念。
では、ほかのテーマパークはどうか。有名どころでは志摩スペイン村*5、ちょっとマイナーなところではポルトヨーロッパなどがあるが、どちらも南欧系だ。ハウステンボスのモデルはオランダ、倉敷チボリ公園デンマークなのでやや近いが、やはり少しイメージが違う。いや、チボリ公園には行ったことがないので、本当のところはよくわからないのだけれど。
ドイツがモデルといえば、野外民族博物館 リトルワールドにドイツのバイエルン州の村を再現したコーナーがあって、『狼と香辛料』の1巻の冒頭あたりを彷彿させる。農村の家が何軒か並んでいるだけで、町ではないが、これはお薦めだ。愛知県近辺に住んでいて、特に『狼と香辛料』の聖地巡礼にこだわらない人なら一度訪れてみるのもいいのではないかと思われる。
まだ訪れたことはないのだが、東京ドイツ村というテーマパークが(東京都ではなく)千葉県にある。千葉県近辺に住んでいて、そこかが『狼と香辛料』の聖地巡礼にふさわしい場所かどうか確かめてみたいという酔狂は人はぜひ一度訪れてみてほしい。また、赤城高原牧場 クローネンベルクも、群馬県近辺に住んでいる人に視察してもらいたいスポットだ。
この項の最後に、今はなきグリュック王国を紹介しておこう。休日に訪れても客が数人しかいない珍スポットとして有名だったところだ。合掌。

おわりに

聖地巡礼ガイドというよりテーマパークガイドのようなぐだぐだな内容になってしまったが、ともかく何とか締めくくらなければならない。
……ただいま締めくくりの言葉を考え中。
……えーと
………
……

以上の考察から明らかなように、『狼と香辛料』の聖地巡礼に適した場所は少なくとも日本国内には存在しないことが判明した。
だが、悲観するには及ばない。発想を転換すればいい。アウタースペースからインナースペースへと目を向けるのだ。
狼と香辛料』の愛読者なら、誰だって自分の心の中に一定のイメージを持っているはずだ。そこには村があり、町があり、森があり、道があり、川があり、学園があり、ロレンスがいて、ホロがいて、羊飼いの……えっとあれなんて名前だったかな、ホロのライバルになるかと思ったらすぐ退場して短篇で一回だけ復活した少女がいて、噛ませ犬の少年がいて、名前も思い出せない数々の人々が大勢いて、真の愛読者ならそれらの人々の名前はもとより顔つきから身振り手振りまでいつでも即座に思い出せるはずだ。
そう、あなた方の心の中にこそ「聖地」はあるのだ!

*1:見出しでは二重括弧だったのに、ここではふつうの鉤括弧なので、気になる人には大いに気になることだろうが、これには山よりも深く海よりも高い理由がある。でも、そんな理由をいちいち書いていては時間がもったいないので省略する。

*2:実在する異世界などないから、もちろん異世界といえばみんな架空の世界なのだが、つい「架空の異世界」と書きたくなった。

*3:が、大人の事情で南へ転進することもある。

*4:これもソースを挙げることはできないが、ディズニーシーくらい行ってるでしょう、ふつう。

*5:志摩スペイン村が有名なのは、近鉄グループの宣伝力によるため、関西と中京圏以外に住んでいる人にとってはあまり馴染みがないかもしれない。