模造昭和

先日、豊後高田市昭和の町へ行ってきた。
「昭和○年代の街並み再現!」という類の趣向で売っているまちはあちこちにあるが、当然のことながら昭和そのものの再現ではなく、昭和っぽい雰囲気を濃縮したものに過ぎない。悪くいえば「捏造」という言葉をあてることもできるだろうが、そこまで貶すほどのこともないので、ここでは「模造」と言っておくことにする。
さて、豊後高田の「昭和の町」の模造の出来具合は如何ほどか?
同じ日に別府ワンダーラクテンチに行き、続いて別府秘宝館*1にも足を伸ばしてきた。売りにしているわけではないが、どちらも「昭和」が色濃く感じられる施設だ。その後に訪れたので若干「昭和の町」の印象が薄いのは仕方がないが、その点を上方補正すれば、模造昭和ものとしてのグレードはかなり高いように思われた。さすが、全国から地域活性化関係者が訪れる「聖地」だけのことはある。
で、その「昭和の町」から歩いて数分のところに昭和とは何の関係もなさそうな高田モダントリックアート不思議な美術館という施設があって、そのアンバランスさが楽しかった。どうせなら、ガラス工芸やオルゴール関係の施設もあればよかったのに。
ひととおり街並みを散策して、最後にいちばん外れの書店に入った。昭和の頃にはどこにでもあったような小さな書店で、品揃えもあまりよくはない。でも、せっかくだから何か本を買っていこうと思って探してみると、『おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離』があった。こんな機会でもなければ一生手にとることもない本だから、これも何かの縁かと思って買ったが、意外と面白くてあっという間に読めた。いやはや、読まず嫌いはよくないものです。

*1:公式サイトが見あたらなかったので、かわりにニッポンの歩き方別府秘宝館のページにリンク。