造園遺産

どちらも同じ記事だが、どちらのほうが後まで残っているのかわからないので、両方にリンクしておいた。
さて、この「造園遺産」というのは、日本造園学会関東支部が選定しているものだという。
実は日本造園学会という団体があることすら知らなかった。「学会」という名前がついていても創価学会とかと学会とか富士宮やきそば学会などのように、必ずしも学者・研究者の学術交流を目的としているわけではない団体も多いが、日本造園学会は文字通りの学会のようだ。

社団法人・日本造園学会は、造園という伝統的な職能が蓄積してきた技術と文化のうえに、近代的な理論と科学的体系を構築することを目的として、1925年に設立されたわが国最初の造園学に関する学術団体です。現在では約3,200人の会員を擁し、その活動の対象となる領域は、たいへん広範囲なものとなってきました。

全国規模の団体のようなので、関東支部以外でも造園遺産の選定を行っているのかと思ったが、他支部のサイト*1には造園遺産にかかる記述がなかったので今のところ関東支部のもの事業らしい。
造園遺産の一覧表はこの文書【PDF】にある。表組みは面倒なので前文のみ引用しておく。

関東支部では、平成18 年度より「造園遺産のインベントリーづくり」に取り組んでおり、平成19 年度で は「関東地域における造園遺産」として14 件を認定しました。

今年度(平成20 年度)は、新たに団地部門、学校・キャンパス部門、動植物園部門、緑地部門を加えて 10 件を認定し、2008 年10 月11 日に開催された関東支部総会で発表しました。

去年10月11日に認定された造園遺産のことが今頃記事になっているのか……。
なお、造園遺産の対象と要件について別の文書【PDF】から抜粋して紹介しておく。

○対 象
近代(幕末期〜昭和20 年代、1850 年代〜1950 年代)に造成されたものを主たる対象としますが、場合によっては近代以前(江戸期以前)や東京オリンピック(1964)前後期も考慮します。ただし、対象とするものが現存していることを原則とします(原形をとどめている程度の改修、改築は認めますが、跡地などは含みません)。
○要 件
公的機関による文化財などの指定を受けていないことを原則とします。これはすでに法的に(または条例上)保護の対象となっているもの以外に、価値ある遺産候補を発見し、造園遺産のインベントリーを拡充することを目的としているためです。現在はあまり認知されていない次世代に継承すべきものを見出し、これらを社会的にアピールする機会とします。

時期的には近代化遺産近代化産業遺産とだいたい同じだが、役所ではなく学会が認定しているという点では機械遺産に近いかもしれない。
ところで、この種の「○○遺産」というのはいくつくらいあるのだろう? 「戦争遺産」とか「鉄道遺産」のように特に認定制度のないもの*2を除いても相当数あるのではないかと思うが、探しきれない。リストか何かをご存じの方はぜひご教示ください。

*1:東北支部のサイトのみアクセスできず確認していない。

*2:もしかしたらこの名称で認定を行っている団体があるかもしれない。その場合はごめんなさい。