生涯未婚率

50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率(2010年時点)は、男性20・1%、女性10・6%と、初めて男性が2割台、女性が1割台に達したことが30日、わかった。

政府が6月初めに閣議決定する2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれる。

この記事、何か気になる。いったい、どういう統計データからこのような数値が出てくるのだろう?
で、検索してみた。

生涯未婚率というのは、「45〜49歳」と「50〜54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したものです。生涯を通して未婚である人の割合を示すものではありません。ただし50歳で未婚の人は、将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われます。

あ、こりゃ国勢調査が出典ですな。
政府統計の総合窓口 GL08020103に掲載されている表番号5-2「配偶関係(4区分),年齢(5歳階級),男女別15歳以上人口及び平均年齢(総数及び日本人)−全国※,全国市部,全国郡部,都道府県,20大都市」を見ると、45〜49歳の男性4,027,969人のうち887,283人、50〜54歳の男性3,809,576人のうち667,268人がそれぞれ未婚者だ。配偶関係未詳者も相当数いるので、どう処理するかによって比率は変わってくる*1が、だいたい50歳前後の男性のうち2割程度が未婚だということはできるだろう。
で、冒頭で引用した記事には問題点が2つ。

  1. 「生涯未婚率」は生涯を通して未婚である人の割合を示すものではないのに、見出しで「生涯未婚の男性」と書いている。
  2. 生涯未婚率算出基礎となった2010年国勢調査の集計データは昨年10月26日に公表されているのに、今年4月30日にわかったと書いている。

それにしても「生涯未婚率」とは誤解を招く表現だ。既に定着している表現のようなので、今さら変更すると混乱のもとになるかもしれないが、「中高年未婚率」とかなんとか、もうちょっとましな言い回しを採用できなかったものだろうか?

*1:図録▽未婚率の推移では、配偶関係未詳を除く人口に占める構成比だと書かれている。