誕生日が1月11日である人の確率

たとえば、どこかの街角で、たまたますれ違った見知らぬ人の誕生日について考えてみよう。その人の誕生日が1月11日である確率はどれくらいか? もちろん、その人の誕生日については何も情報を持っていないのだから、特定の日が誕生日だと思われる理由もなければ特定の日が誕生日ではないと思われる理由もない。そうすると、確率はだいたい1/365と考えるのが普通だろう。
ここで「だいたい1/365」とあいまいな書き方をしたのは、閏年を念頭に置いているからだ。もし閏年ではない年に生まれたということがわかっている場合なら、1月11日に生まれた確率は1/365と言えるが、今の想定では、その人の生まれた年が閏年かそうでないのかがわからないので、「だいたい」がつくわけだ。
「だいたい1/365」では満足できない人は、計算してもう少し細かな数値をはじき出すかもしれない。閏年は4年ごとにあるので、4年をひとつの単位と考える。4年間の総日数は1461日で、その間に1月11日は必ず4回巡ってくる。従って、見ず知らずの他人の誕生日が1月11日である確率は、4/1461ということになる。
これでおしまい……というのでは、まだ満足できない人もいるかもしれない。閏年は4年ごとにあるというのは、正確ではない。「閏年はだいたい4年ごとにある」という言い方のほうが正しい。よく知られているように、1900年は閏年ではなかった。1900年生まれの人が、今、どこかの街角を歩いているということは考えにくいが、確率0とは言い切れない。そうすると、先の4/1461という数値が揺らいでくるのではないか。
また、別の論点もあり得る。「どこかの街角」が日本国内であるなら、丙午生まれの人はそれ以外に生まれた人より数が少ないのだから、それが確率に影響を及ぼすのではないか、という論点だ。特に、たまたますれ違った人が40代くらいに見える場合には、無視できないのではないか。
しかし、現在110歳を超える高齢者が街角を歩いている確率だとか、見かけが40代に見える人のうちで1966年生まれの人である確率などを計算するための手がかりがないというのも事実だ。これはもう無視するしかないではないか。
というわけで、当初の「だいたい1/365」に戻るのがもっとも無難だと思われるのだが、如何?