裸女と路面電車

姫路市立美術館「デルヴォーとマグリット」展を見に行ったのは、マグリットの名に惹かれたからだった。ポール・デルヴォーのことは名前すら知らなかった。
いろいろ調べてみると、デルヴォーはベルギーのシュルレアリスムの巨匠で、日本でも有名な人なのだそうだ。でも、自分の無知を棚に上げて言うけど、いくら有名といってもダリほどは知られていないと思うよ。
で、全然予備知識なしに美術館へ行ってみて、デルヴォーの絵に生まれて初めて触れた*1わけだが、非常に感動した。正直いって、お目当てだったマグリットよりもよかったくらいだ。
シュルレアリスムというと、現実にはあり得ない光景を細部までくっきりと描く画風というイメージがあるが、デルヴォーの絵は柔らかなタッチで描かれたものが多い。画題や構図は全然違うが、何となく印象派に近いような気がした*2
……どうも言葉では説明しにくい。
画像データはネット上に転がっているので、どんな絵を描いているのかは調べればわかることだが、やはり実物とは全然印象が異なる。まあ、どんな絵でも複製と現物とは違っているものだが、マグリットなら複製画や写真を見るだけでもある程度雰囲気は掴める。それに比べると、デルヴォーのほうは、実際に美術館に足を運んでみないと「ヘアまで描き込んだ裸女の絵」という身も蓋もない把握で終わってしまいかねない。近場の人は、是非一度姫路市立美術館を訪れていただきたい。この展覧会は3/26まで*3なので、お早めに。

*1:もちろん、手で触れたわけではない。

*2:実際、デルヴォー印象派の影響をかなり強く受けているらしい。

*3:館蔵品なので、そのうちまた出てくるとは思うが、常時展示されているわけではないようだ。