寸止めループのはじまり

とらドラ〈3!〉 (電撃文庫)

とらドラ〈3!〉 (電撃文庫)

好評シリーズ第3弾。今回は新キャラもなく、ラブコメの基本に忠実な季節イベントで盛り上げる。それはいいのだけど、竜児と大河の仲が進展しかけたと思ったら後戻りして結局微温的な共犯関係に落ち着くというパターンがそろそろ現れ始めていて、長期シリーズ化の予感がする。できればあと2巻くらいで終わってほしいのだが、この調子だと無理だろうなぁ。
人気が出ないと打ち切りを食らうし、人気が出たら出たで終末の遅延が起こる。1980年代の少年マンガ界のラブコメ黄金期のジレンマが、いまラノベで再現されようとしている。
それはそうとして、今回びっくりしたのは次の3点。

  1. 『タッチ』名台詞のパロディ(15ページ)
  2. 大相撲千秋楽名物男の物真似(149ページ)
  3. 松本清張vs.太宰治の架空文人バトル(173ページ)

1は知らなければ読み飛ばすだけだからいいとして、2と3は主対象読者層を考えるとちょっとやりにくいネタだと思うのだが、それをあえてやってしまうのが竹宮ゆゆこの凄さだ。この人いったい何歳なのだろう?
あとは……視点の話は今回はパス。既刊の感想文を参照してください。