互いに参照する依命通知と通知

例の高校必修単位履修不足問題について、文部科学省平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目未履修の生徒の卒業認定等について(依命通知)という文書を出している。
リンク先の本文は、文部科学大臣の名を受けた初等中等教育局長*1が各都道府県教育委員会教育長・各指定都市教育委員会教育長・各都道府県知事・附属学校を置く各国立大学法人学長あてに出した通知だが、別添として「平成19年度大学入学者選抜における調査書の取扱い等について(通知)」という文書が掲載されていた。こちらは、高等教育局長と生涯学習政策局長連名で、各国公私立大学長・各都道府県知事あてに出されている。この別添文書を読むと、次のような一節がある。


 この件について、平成18年11月2日別添のとおり各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学法人学長あて、文部科学省初等中等教育局長依命通知が発出されていますが、これに関連して平成19年度大学入学者選抜における調査書について下記1、既に高等学校を卒業した者の大学等の入学資格については下記2、のように取り扱うこととします。
ここで言及されている別添文書というのは、明らかにリンク先の本文として掲載されている文書のことだ。ということは、2つの文書の間に相互参照関係が成立していることになる。

  依命通知 通知
文書番号 18文科初第757号 18文科高第427号
発信日付 平成18年11月2日 平成18年11月2日
文書名 平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目未履修の生徒の卒業認定等について(依命通知) 平成19年度大学入学者選抜における調査書の取扱い等について(通知)
発信者 文部科学省初等中等教育局長 文部科学省高等教育局長・文部科学省生涯学習政策局長
送付先 都道府県教育委員会教育長・各指定都市教育委員会教育長・各都道府県知事・附属学校を置く各国立大学法人学長 各国公私立大学長・各都道府県知事
別添文書名 平成19年度大学入学者選抜における調査書の取扱い等について(通知) 平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目未履修の生徒の卒業認定等について(依命通知)

2つの文書は送付先が異なるのでこのような形式をとったのだろうが、都道府県知事と附属学校を置く各国立大学法人学長のもとには本文と別添が逆になっただけで実質的には同内容の文書が2部届くことになる。まあ、知事や学長が文書を自分で見るわけではなくて、高校事務担当者と大学・専修学校事務担当者が別々にいるのだろうから、重複した内容の文書を2通出すことにも意味はあるのだろうが、なんかダブっているという印象をもった。
ところで、依命通知・通知ともに不思議な点があった。まず依命通知のほうだが、これは高校に関する内容なので、附属高校がない大学にとっては関係ないのではないかと思うのだが、なぜ送付先が「附属高等学校を置く各国立大学法人学長」ではなく「附属学校を置く各国立大学法人学長」になっているのだろうか? 次に通知のほうだが、これは高等教育局長と生涯学習政策局長の連名なのに、文書番号が1つしかないのはなぜだろう?
……事の本質とは全然何の関係もないことばかり書いてしまった。履修不足問題に関心があって調べ物をしている人が見ても有益な情報はありません。ああ、こんなことは最初に書いておくべきだった。ごめんなさい。
参考になるかどうかは不明だが、この問題をきっかけにして、規則と運用の関係について非常に対照的な見解を述べている文章を2つ見つけたので、リンクしておこう。

おまけ

長野県ホームページ文部科学省の通知文の写しが平成18年度に高等学校の最終年次に在学する必履修科目未履修の生徒の卒業認定について(PDF形式:391KB/8ページ)の添付資料として掲載されている。11月2日付の文部科学省の文書を受けて自県内の高校向けの通知文を同日に出すとはえらくスピーディーだと思ったが、文部科学省の文書の汚れ具合から察するに、どうもこれは郵送で受けつけたのではなくてFAXで受けたものではないかと思われる。そのつもりで見ると、各ページのヘッダ部分は修正テープか何か゛FAXの文書情報を消しているような感じもする。
「それがどうした?」と言われればそれまでなのだが……。

追記(2006/11/05)

島根県報道発表資料にも同様のものがありました。

*1:だからただの「通知」ではなく「依命通知」となっているのだが、それなら別に大臣が通知したことにすればよかったのではないかと思う。たぶん何か決まりがあるのだろうが、よくわからない。