角川スニーカーの憂鬱

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

角川文庫夏の100冊フェアで、書店に並んでいる文庫の中に『涼宮ハルヒの憂鬱*1があったので、なんとなく手にとってみたのだが、カバーの裏表紙見返しのところの既刊本リストには『憂鬱』しか書いていなかったので、ちょっと驚いた。もちろん初刷ではなく、今年5月20日付の32版*2だ。ライトノベルの棚に行けば、涼宮ハルヒシリーズの続刊がいっぱい積んであるが、このフェアに入っているのは『憂鬱』だけなので、もしフェアをきっかけに予備知識のない人が『憂鬱』を買ったら、「ああ、この著者の本はこの文庫からは1冊しか出ていないのか」と勘違いするかもしれない。
これは営業戦略上いかがなものか。
ちょっと気になって、ラノベ棚で長期シリーズの第1巻をいくつか見てみると、電撃文庫スニーカー文庫と同じくカバーに続刊情報が記載されていないが、ファミ通文庫MF文庫Jなどは増刷時にカバーに手入れをしている*3ことがわかった。
ラノベは新刊のときにいちばんよく売れるし、巻数を重ねてからまとめ買いする人は、いま何巻まで出ているのか把握していることが多いのだから、わざわざ手間をかけて既刊リストに手入れをする実益はあまりないという考え方もできるだろうが、今回のフェアのようなケースもあるのだから、なるべくこまめにリストの手入れをしてほしいものだ。
ところで、この『憂鬱』には奥付の後ろにページ数あわせのための広告が数ページあるのだが、そこでは『動揺』までのタイトルが記載されてあった。たぶん『動揺』発売後『陰謀』発売前、すなわち2005年半ばに増刷したときに、広告を差し替えたのだろう。『憂鬱』の初刷で同じページにどのような広告が載っていたのかはわからない*4が、もしかすると2003年当時の状況に即した記述があって、それが2005年には実情にあわなくなっていたのかもしれない。
一方、同じく広告ページに『愚者のエンドロール (角川文庫)』のスニーカー・ミステリ倶楽部版の広告が載っているが、この本の新装版が出たのも2005年のことなのに、その時にどうして広告を差し替えておかなかったのだろう? その時に何らかの事情があったのかもしれないが、せめて今回のフェアにあわせた増刷で差し替えておくべきではなかっただろうか。同じフェアで、『憂鬱』のすぐ近くに『愚者のエンドロール』も置いてあるのだから。

*1:以下、涼宮ハルヒシリーズのタイトルは「涼宮ハルヒの」を省略して、漢字二文字で表記する。

*2:正しくは初版32刷だと思うが、スニーカー文庫ではこのように表記している。

*3:もっともサンプル数が少ないので、同一レーベルでも全部の本がそうなっているかどうかはわからない。

*4:『憂鬱』は発売時に買ったからたぶん初刷を持っていると思うが、例によって例のごとくミカン箱の奥に埋もれてしまって取り出せない。