死にゆく少女たちの散歩

出張で東京に行くことになった。土日がまるまる空いているので、最初はこれに参加しようと思っていたのだが、今年に入ってからまだ1冊もラノベを読んでいない*1ので躊躇しているうちに申込期限が過ぎてしまったので、今回は断念した。
かわりに何かイベントか催し物がないかと調べてみると、吉祥寺にあるバウスシアターという映画館で、2/2から「小さな悪の華」という映画を上映するらしいということを知った。で、「小さな悪の華」の紹介ページをみると

「小さな悪の華」の公開初日には“死にゆく少女たちの散歩”と題し、少女映画の傑作群をオールナイト上映します!

上映作品:「ヴァージン・スーサイズ」「エコール」「小さな悪の華

と書いてあるではないか!
おおっ、あの「エコール」を上映するのかっ!
「あの」と言っても知っている人は少数だろうが、数年前に一部で話題になった映画だ。はてな界隈での感想をいくつか紹介*2してみよう。

……まあ、そんな映画だ。
確か、当時大阪でも上映していたはずだが、うかうかしているうちに終わってしまい、みにいくことができなかった。その後、DVDも出たが、その頃にはすっかり忘れていてチェックしていなかった。
でもまあ、ちょうど東京出張のときに「エコール」がかかっているのだから、これも何かの縁だし是非みてみようと思った。
メインの「小さな悪の華」も面白そうだが、「ヴァージン・スーサイズ」というのはあまりどうでもよさそうな映画だと思い、さほど関心はなかった。
さて、中央線に乗って吉祥寺についたのは午後8時過ぎ。映画館の入場券売場にいくと、オールナイトのチケットの販売は10時からということだったので、時間つぶしのため吉祥寺のまちをぶらぶらと徘徊した。やたらとエスニック料理の店が多いところだ、と思った。「小さな悪の華」関連の企画「小さな秘密の本棚」というのを開催しているOLD / NEW SELECT BOOKSHOP 百年にも行ってきた。そこで、企画とは全然関係のない『奇妙なはなし (文春文庫―アンソロジー人間の情景)』という本を買った。R.F.ヤングの「たんぽぽ娘」が収録されているアンソロジーだ。そういえば、河出書房の奇想コレクションから出るという話はどうなったんだろう?
閑話休題
適当に時間をつぶして午後10時過ぎにチケットを買い、近くのカレーハウスCoCo壱番屋で期間限定のグランドマザーカレーを食べて10時半過ぎに映画館な戻るとあらびっくり入口前に行列が出来ていた。ざっと見た感じでは男女比3:7、特に若い女性の2人連れ、3人連れが目につく。予想していたような派手派手なゴスロリはなかったが、黒っぽい色調の服を着た人が多かった。高校生くらいの女の子も何人もいたが、18歳未満でも深夜映画をみていいのだろうか?
そうこうするうちに上映開始。最初は「ブァージン・スーサイズ」から。原作は『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』。おお、そのまんまだ。
17歳から13歳までの年子の5人姉妹が全員自殺するという話で、それは映画の冒頭で明かされる。それ以上のことは言わないほうが賢明だろう。
で、次は「エコール」だが……あー、うー、第二次性徴以前の幼い少女に関心のある方にはよろしいんじゃないでしょうか。なんとなく事前の予想ではもっと耽美な映画だと思っていたので、やや拍子抜け。
最後は「小さな悪の華」だ。あちち。
この「小さな悪の華」、事前に全く情報を調べていなかったので知らなかったのだが、どうやら実話にヒントを得た映画らしい。その事件の概要をみると「少女二人の殺人」という以外にあまり共通点はないようだが。後に、「乙女の祈り」という映画も製作されているようで、こちらも縁があればみてみたい。で、その実際に起こった殺人事件の犯人の少女の一人が後にミステリ作家となり、彼女の作品は創元推理文庫からも出ている*3というから、まさに事実は小説より奇なり、だ。
だが、事実は小説よりも奇なりというが、これは嘘で、本当にそうなら誰も小説なんか読まないだろう……というようなことを郷原宏も言っている。花も実もある嘘八百! 残念ながら「小さな悪の華」には、花はあるけど実はあまりなかったような気がする。創元推理文庫つながり(?)でいえば、『少女には向かない職業』のほうがずっと面白かったように思う。
今年はじめての映画鑑賞にして、生まれて初めてのオールナイトがあけて映画館の外に出ると、東京は記録的な大雪に見舞われていた。今日は東京近郊の鉄道の乗り潰しを予定していたが、ネットカフェに避難したほうがよさそうだと思い直して計画変更、現在に至る。

おまけ

最初のほうでバッハの音楽が流れるが、本篇には出てこなかった。

おまけその2

さっき奇想コレクションについて調べているときに初めて知ったのだが、今月の新刊でスラデックが出るらしい。今のテンションだと積ん読になるのは目に見えているが、これは買わざるを得まい。

*1:というか、小説本は『マーベラス・ツインズ (1)』しか読んでいない。強いていえばこれもラノベと言えなくはないが、それでも圧倒的に読書量が不足していることに違いはない。

*2:ほかにもあると思うが、当時リアルタイムで読んで「エコール」に関心をもつきっかけとなった記事のみに限定した。

*3:今も売っているかどうかは知らない。