直球勝負の冒険小説の面白さ
- 作者: 犬村小六,森沢晴行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/02/20
- メディア: 文庫
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昨日、人に会うために外出した際に電車の待ち時間に読み始め、電車の中でも読み続け、電車を降りて昼食をとるため入った店でオーダーした料理が出るまでの間も読み続け、昼食後再び電車に乗っても読み続け、乗換駅で次の電車を待っている間にも読み続け、目的地の駅に着いたときにも読み続け、とりあえず駅のホームのベンチで読み続け、そうこうするうちに待ち合わせ時間が迫ってきたので、このまま予定をキャンセルしようかと一瞬思ったがさすがにそれもどうかと思い直し、しぶしぶ本を閉じて待ち合わせ場所に行った。
そこで会った人はミステリマニアで、キャサリン・エアードと坪田宏が大好き*2だそうだが、残念ながらエアードも坪田宏も今は新刊書店では手に入らないので、何か最近読んだ本でお薦めはないかと尋ねたところ、「今年読んだ小説でいちばん面白かったのは『とある飛空士への追憶』だった」という返答だったので、ちょっと意外な感じがした。
しばらく歓談したのち、帰りの電車の中で『とある飛空士の追憶』を読み続けて、最寄り駅に着く直前でようやく読み終えた。一気読み、というには中断が多かったが、でも1日で読み切ってしまったのだから我ながらたいしたものだと思う。ふつうの人にとっては全然たいしたことではないだろうが。
さて、この『とある飛空士への追憶』を読んでいる最中に、『虎口からの脱出』を連想した。これは無茶苦茶面白い小説だった。また、読後しばらく経って『深夜プラス1』も似たようなストーリーだったような気がしてきた。こっちは大昔に1回読んだだけなので、はっきりと覚えていないのだが、相当面白かったような気がする。
で、『とある飛空士への追憶』だ。冒険小説の王道中の王道パターンに真っ正面から挑み、見事書き切った傑作といえるだろう。緊迫感溢れる戦闘シーン、映像的かつ抒情的なラスト、そして何より*3大瀑布。まさに非の打ち所がない。
いや、細かいことをいえば、ヒロインの美しさの説明が悪い意味でマンガ的だったり、飛空機のエネルギー補給手段が安直だったり、いろいろとケチをつけることは可能だが、まあそんなことを言い立てても仕方がない。
とにかく面白い小説だった。
既に多くの人が絶讃しているので、ここで讃辞をひとつ追加しても意味がないとは思うが、別にそれでバチが当たることもないだろう。もう一度繰り返す。
とにかく面白い小説だった。