「性」のあるなし、あるいは川崎市の謎

知人男性をナイフで刺したとして、神奈川県警青葉署は2日、川崎市麻生区千代ヶ丘、同市職員で川崎市岡本太郎美術館学芸員、杉田真珠容疑者(43)を、殺人未遂と銃刀法違反の疑いで逮捕した。

発表によると、杉田容疑者は1日午後3時50分頃、横浜市青葉区荏田町のコンビニ店駐車場に止めた軽乗用車内で、同区柿の木台、川崎市生涯学習財団職員で川崎市市民ミュージアム学芸員、深川雅文さん(51)の左胸を果物ナイフで刺し、重傷を負わせた疑い

新聞ではよくあることだが、容疑者は「女」で、被害者は「男性」というのが気になった。
一般にやまとことばと漢語では前者のほうが具体的な皮膚感覚に密着していて、後者はより抽象的、概念的だと言われる。「女」に「性」が加わった「女性」のほうが、より性的な意味が強調されているはずなのに、実際には「女」のほうが生々しい性を感じさせる*1のは、「女」がやまとことばで「女性」が漢語だからだ、という話をどこかで読んだことがある。もちろん、「男」と「男性」でも同様。
犯罪報道の場合のやまとことばと漢語の使い分けは、生々しさとか性的強調とかではなく、前者がぞんざいで後者が丁寧だからなのだろうが、現行犯の場合でもいちいち名前の後に「容疑者」とつけて呼び捨てを避けているのに、なぜ中途半端に「女」と書くのかがよくわからない。
それはそうと、この記事を読んで川崎市岡本太郎美術館川崎市直営で、川崎市市民ミュージアムのほうは川崎市生涯学習財団が運営しているのだと思ったが、市の指定管理者制度導入済施設一覧表にはどちらの施設も掲載されておらず、財団の指定管理施設紹介ページには両方のミュージアムショップが掲載されていて、さらにここ【PDF】を見ると平成18年度に川崎市市民ミュージアムの管理・運営が財団から市直営に変更されたと書いてあり、また川崎市岡本太郎美術館の沿革で、1999年に(財)川崎市博物館振興財団に管理運営を委託した後のことが書かれていないのだが、この財団はこことかここを見たところでは川崎市生涯学習財団と統合されているようだ。結局、どういう運営形態なのか、よくわからなかった。
川崎市は謎に満ちている。

追記(2009/02/03)

 青葉署は二日、殺人未遂と銃刀法違反の疑いで、川崎市麻生区千代ケ丘三丁目、同市岡本太郎美術館の女性学芸員(43)を逮捕した。

 調べでは、同容疑者は一日午後三時五十分ごろ、横浜市青葉区荏田町のコンビニ駐車場に止めた軽乗用車内で、同区に住む川崎市市民ミュージアム学芸員の男性(51)の胸を、持っていた果物ナイフ(刃渡り十二センチ)で刺すなどした疑い。傷は肺まで達しており、男性は病院に搬送されたが、命に別条はないという。

この記事では「女性」「男性」と統一されている。

*1:その証拠に、官能小説のタイトルに「女」はしばしば用いられるのに「女性」は滅多に用いられない。