熊と狼、どっちが強い?

日本熊森協会日本オオカミ協会がガチンコ勝負をしたら、どちらが勝つのだろう?
……などという、どうでもいいことをふと思いついてしまった。
今のところ特に意見はありません。

追記

ここから先は日本熊森協会は関係がない。日本オオカミ協会の主張について。

これが発端となって、

ここでいろいろツッコミが入って

ここでもいろいろ意見を言っている人がいる。
鹿問題に対応するのにわざわざ狼*1を放たなくてもハンターが捕獲すればいいじゃないか、という反論を思いつく人は多いが、日本のハンターは年々減少している*2ので実際問題として近年中に劇的に鹿の捕獲圧が高まることはない。
だからといって、狼を再導入すればいい、とか、狼を再導入する以外の選択肢はない、と直ちに結論付けるのは早計だ。諦めるという選択肢があるのだから。世の中には「やらないよりまし」なことと「やらないほうがまし」なことの両方があるのであり、ある事柄がどちらに属するのかは、やった場合とやらなかった場合の得失を冷静に分析して判別しなければならない。
狼再導入には、上のリンク先でも触れられているようにいくつかのリスクがある。「マングースみたいになったらどうするの?」というのは素朴だがかなり協力な批判だろうと思う。
その批判に対して、

オオカミ再導入を唱えると、「マングースのように失敗する」と、よく言われます。

本当にマングースとオオカミを同列で比較していいものでしょうか。

マングースと狼の違いを強調する人もいるのだが、ブクマコメントをみると

machida77 ここで想定しているチュウゴクオオカミだって野生のシカだけ食うわけではない。よくここまでマングースの導入とは違うという都合のいい考えができるものだ。 2010/07/31

steam_heart それは狼も一緒で、家畜の方が襲いやすいでよ。 2010/07/31

salmo これはひどい, 生態系, フルボッコ予定リスト 国内外来生物問題を知らないのかな?フルボッコ予定リストに入れておく。生態学の知見を牽強付会しやがって、はらわたが煮えくりかえる。 2010/07/31

と、今のところネガティヴブクマしかついていない。
保全生物学保全生態学の知識をろくに持たない*3素人があれこれ言うことでもないので、「フルボッコ」を期待することにしようと思う。
……ああ、こんな流れになるのなら、追記だけにしておきゃよかった。でも本文は消さないよ!
日本熊森協会日本オオカミ協会がもし本当に対決したら、ハブとマングースの決闘よりずっと面白そうだから。

追記の追記

さらに脱線。
狼とマングースは同じなのか違うのか、という考えていくと、狼とトキやコウノトリ*4とは同じなのか違うのか、という疑問にも突き当たる。
そういえば、以前、鰻*5で有名な古座川*6で漁をしている人から、こんな話を聞いたことがある。
「最近、古座川ではオオサンショウウオが鰻や鮎を食う被害が多い。これは単に水産業の問題というだけでなく生態系の攪乱だ。要するにブラックバス同じことだ。ブラックバス特定外来生物なのにオオサンショウウオ特別天然記念物というのはおかしい。何が違うのか?」
外来生物*7は海外からの移入種のみを対象にしているので、オオサンショウウオのような国内外来生物は対象外になっている、というのが法律サイドからの回等になるのではないかと思う。あとは、天然記念物制度を定めている文化財保護法の運用上の難点*8も挙げられるだろうか。
法律論を抜きにすればどうなのか、という話になると、先にも述べたとおり素人には何とも言えないのだが、最近こんな記事を見かけたので参考のため掲げておく。

Q 僕も意見を言えるかな?

A 詳しい人と一緒の方がいいでしょう。例えば、古座川支流の平井川に生息するオオサンショウウオは素案では、「絶滅」です。選定委員会の調べでは、平井川の個体は58年ごろに住民が兵庫県から持ち帰ったもので、かつていた有田川には現在いないためです。ギフチョウも同様のケースになります。

追記の追記の追記

何事かと何事かが「同じ」だと言われ、「違う」と言われるとき、どちらが正しい意見なのかを判定するのは難しいものだ。全く議論の余地がないのは完全に同一な場合だけだろう。いや、同一の対象について語っている場合でも、「宵の明星」と「明けの明星」は「違う」という主張は成立するかもしれない。
より紛糾するのは、事物や事態そのものをみれば別なのに「同じ」だと主張される場合、すなわち同種とか同様というレベルの議論の場だ。上の「マングースと狼は同じかどうか」とか「オオサンショウウオブラックバスは同じかどうか」というのはこのレベルでの議論となる。
非常に簡単で、しかも説得力のある回答はこうだ。「所詮、同種とか同様とかは、態度の問題に過ぎない。採用する基準が異なれば、何と何を持ってきても『同じ』とも『違う』とも言えるだろう」
これは反論が難しい。難しいのだけれど、安易に受け入れたくない考え方だ。なぜ受け入れたくないかというと……ああ、こりゃ別項目を立てるべき話題ですな。今度暇があったら改めて書くことにしよう。

*1:生物名はカタカナ書きするというのが現代日本では常識になっているが、ここではあえて「鹿」「狼」と漢字を使ってみた。ただし、漢字で書けるものは何でも漢字で書くという方針を立てているわけではありません。気分次第。

*2:ちょっとオーバーだが、狩猟者の平均年齢は毎年1歳ずつ上がると表現してみたくなる。

*3:ついでにいえば保全生物学保全生態学が実態として同じなのか違うのかもしらない。

*4:早速表記の不統一。「鴇」とか「鸛」という画数の多い漢字はあまり使いたくない。

*5:これも画数の多い漢字だが、「ウナギ」よりも「鰻」のほうがおいしそうなので漢字で書く。

*6:文字通り「古座川」という屋号の鰻料理店もある。あそこの鰻を食べたら吉野家の鰻なんてとてもとても……。

*7:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律のこと。

*8:最近の記事ではいのちの条約:COP10・NAGOYA 生物多様性を守れ/8止 文化財保護法 - 毎日jp(毎日新聞)でその問題を扱っている。ただし、オオサンショウウオの場合は戦前にいくつかの生息地が史蹟名勝天然記念物保存法に基づき天然記念物に指定され、戦後、種として天然記念物に指定し直されたという経緯があるため、若干状況は異なるかもしれない。