基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

昨夜の記事国勢調査のデータを引っ張ってきたときには全然知らなかったのだが、愛知県で国勢調査に関する「事件」が起こっていたようだ。順不同で手当たり次第リンクを張っておく。

愛知県東浦町という町のことは全然知らなかったので、東浦町 - Wikipediaでざっと調べてみた。すると、その年表に

  • 2004年(平成16年) - 知多北部任意合併協議会を設置

という一行があるのが目に留まった。
この協議会はいったいどうなったのだろう?
さらに調べてみると、こんな記事が見つかった。

東浦町は、東海市大府市および知多市による3市1町の合併についての検討を行ってきましたが、 平成18年3月29日に開催された第17回知多北部任意合併協議会において、 平成18年3月31日をもって同協議会を解散することを確認しました。 これにより、法定合併協議会の設置は見送られることになり、知多北部3市1町による合併協議は終了しました。

どういう次第で合併が頓挫したのかは知らないが、その後、刈谷市を中心とする定住自立圏形成協定の締結を行っている。この協定には東海市大府市知多市は加わっていないので、かつての合併構想とは全く線引きが異なる。何か事情があったのだろうか? それとも何もなかったのだろうか?
それはともかく、今回の「事件」、東浦町は単なる事務的なミスで捏造ではないと主張しているようなので、カッコつきの「事件」と表記しておくが、こういう次第だったそうだ。

町によると、この調査から、戸別訪問で確認できない場合は住民基本台帳を参考にできる「補記」が認められた。実際には居住実態を確認する必要があるが、住民基本台帳に記載があれば居住していると判断した例もあった。町幹部らは「国の指示を徹底できず、拡大解釈をしてしまった事務的なミス」と説明。担当職員の処分を含めた報告書を総務省に提出する。

一方、背景にはこんな事情があったらしい。

東浦町は自動車関連や木材加工などの製造業が盛んな地域で、名古屋市ベッドタウンにもなっている。前町長の井村徳光氏(76)が市への昇格を目指し、08年4月に市制準備室を設けた。人口は昇格に必要な5万人に達するとみられていたが、08年秋のリーマン・ショックを契機に外国人労働者の帰国が続いた。こうした状況を経て実施されたのが10年10月の国勢調査だった。

むむ、これは……過去にも似たような事例があったような……。

羽幌町が人口の水増しを図った理由については、市制移行の特例基準、人口3万人を維持し、市の昇格を目指すために、との見解が主だった。事実、それまでの町の動きや経過には、裏付けとなる点が多かった。

同町は、昭和40年の国税調査で3万266人となる。道では、登別、恵庭、亀田の各町とともに、市制の有資格があるとクローズアップされ。当然町長Xをはじめ、町民の多くも、市制への夢を膨らませる。

44年、町は、正式に市昇格に向けて名乗りを上げた。町長Xは、市になるには、それ相応の準備が必要としと、年間財政規模の3分の1を使い4階建ての町庁舎建設に着手。しかし、石炭合理化の波が押し寄せていた。

心配は現実のものとなり、市政への期待を押しつぶすように、羽幌炭鉱は、43年に開坑した築別西坑の坑内条件の悪化により、経営も悪化し、、45年9月に会社更生法の適用を申請、11月に閉山した。このため、市昇格に執着する羽幌町に対し、自治省や道は、閉山によって人口の加減が生じるため45年の国勢調査結果によって市制移行を決めることにしていたのだ。

閉山によって、労働者たちは一斉に町から流出し、過疎の町という様相が強くなった混乱の最中に、この国勢調査が行われた。

なんだか、すごく状況が似ている気がする。もちろん、だからといって東浦町の「事件」が故意の捏造だったと即断できるわけではない。今後の動向を生温かく見送りたい。
ところで、愛知県東浦町企画課 市制準備を見ていると、市になるというのが何か凄くいいことのような雰囲気が漂っているのだけど、その感覚がよくわからない。岩手県滝沢村のように「村」のイメージを守って市にならないところもあるのに……と思ったら、滝沢村 市制により更なる協働のまちづくりを進めますというページがあった。あ、そう。