大都市の核心は知的労働者なのか?

住居コストを飛躍的に安くする方法 - Togetterを読むと、「世の中にはいろいろなことを考える人がいるんだなぁ」と感心する。
かなり杜撰な議論なので、はてなブックマーク - 住居コストを飛躍的に安くする方法 - Togetterで何人もの人がツッコミを入れているし、「住居コストを飛躍的に安くする方法」は実現しない - HPO:機密日誌という優れた論考もあるので、特に付け加えることもないとは思うのだが、一つだけ。

大都市ではいろんな人たちが働いているが、核心は知的労働者である。これは今も昔も変わらない。ホワイトカラーがいるからこそ、それを支える商業・運輸・通信・エネルギー等の現場作業員が働く必要があるのだ。知的労働者が消えれば、大都市は存在意義を失う。

これがよくわからない。都市というのは昔も今も商業・運輸・通信・エネルギー等の現場作業者が集積しているところではないのか? そりゃまあホワイトカラーも多いだろうが、大都市の「中核」とまで言えるのだろうか?
試しに東京都の職業別人口を調べてみた。2010年国勢調査の結果はまだ公表されていないので2005年のデータ*1だが、ご容赦願いたい。また、ごく個人的な趣味で、3桁区切りではなく4桁区切りを採用した。

総数 591,5533
A 専門的・技術的職業従事者 100,8830
B 管理的職業従事者 18,4230
C 事務従事者 143,8445
D 販売従事者 99,0195
E サービス職業従事者 63,8914
F 保安職業従事者 8,8932
G 農林漁業作業者 2,7500
H 運輸・通信従事者 17,4088
I 生産工程・労務作業者 116,8805
J 分類不能の職業 19,5594

約600万人の就業者のうち「管理的職業従事者」は約18万人、そこに「事務従事者」を加えても160万人ほどだ。なお、「事務従事者」の中には「外勤事務従事者」「運輸・通信事務従事者」なども含まれるため、「事務従事者」の中には上の引用文中の「知的労働者」ではなく「現場作業員」が相当数含まれることに注意する必要がある。
知的労働者の労働環境が数多くの現場作業員によって支えられていることは言うまでもない。だが、そこから、現場作業員が知的労働者のみを支えるために労働していると言うなら、それは法外な主張となるだろう。上の引用文にはそれに類する発想が見られるように思うのだが、如何?