ライトノベルの「発見」

ライトノベルが「発見」されたのは2004年のことだった。このジャンルの全盛期は前世紀のことで、当時はまだ「ライトノベル」とは呼ばれていなかったが、本の売り上げは今の1.5倍くらいあったらしい。本当かどうかは知らないけれど。
全盛期には注目されていなかったライトノベルが、なぜジャンルの勢いに翳りが見え始めてから「発見」されるようになったのか、ということについてはいくつかの説がある。いくつか挙げてみよう。

  • 全盛期の読者が成長して、出版・マスコミ業界に進出して企画を立ち上げられる世代になった。
  • インターネットの成熟により、ネット書評サイトが増えた。
  • 一時期のオタク文化をリードしていたエロゲーが衰退し、理屈っぽいマニアがラノベに流れてきた。
  • 出版業界全体の低迷に比べるとラノベの売り上げはそこそこで、傍目には成長しているかのように見えた。
  • ラノベの停滞に危機感を覚えた人々が事態の打開を図るために、宣伝を行った。

これら諸説の当否について意見を述べるのは控えておくが、今思いつくままに書き並べてみて、ある共通点に気づいた。それは、ライトノベルに内在する原因ではなくて、それを取り巻く環境の変化で説明しようとしている、ということだ。
内在説が皆無だということはないはずで、たぶん見落としているだけだと思うのだが。