一迅社文庫を最初に蟹工船にたとえたのは誰だったか?

KUSFA有志による一迅社文庫全レビューです。創刊から丸一年が経過したライトノベル界の蟹工船を徹底レビュー。ネタバレ配慮一切無し。勇猛果敢な方々はご視聴ください。

これを見て、ふと昔のことを思い出した。といっても、まだ1年も経っていないけど。

かつて、ガガガ文庫ラノベ界に現れた黒船だと言われた。でも、いまやそんなことを言う人は誰もいない。最近、少しずつ盛り返しつつあるようにも思うが、初動の失敗が響いてなかなかイメージが回復しないようにも見受けられる*1

対して、一迅社文庫は口の悪い人に言わせれば「ラノベ界の戦艦ポチョムキン」だそうだ。もっと口の悪い人にかかると「ラノベ界の蟹工船」だ。幸い先月の創刊第1弾は好評をもって迎え入れられたようだが、すぐに息切れして失速するのではないかという不安はあった*2。また、某大手ラノベレーベルの営業担当者が「5月は一迅社に譲ろう*3。だが6月は全力で叩き潰してやるから覚悟しておけ!(大意)」と言ったという話を風の噂で聞いたことがあり、それも不安材料のひとつではあった。

たぶんこれがウェブ上での初出だと思うが、一迅社文庫蟹工船にたとえた「口の悪い人」が誰だったのか、今となってはもう全く覚えていない。たぶん、「某大手ラノベレーベルの営業担当者」の話と同じ場で聞いたのだろうから、Light Novel Festivalか何かの機会に誰かが言っていたのだろうと思うが、もしかしたらTwitterでの発言だったのかもしれない。
ともあれ、最初は「黒船」ガガガ文庫*4があって、船繋がりで一迅社文庫戦艦ポチョムキンに擬えられたが、すぐに、よりポピュラーな蟹工船に置き換わったということは確かだ。しかし、その後、「さあ蟹だ!」というオビをつけた『銀世界と風の少女』が出たせいか、端的に一迅社文庫蟹工船にたとえるのが一般的になったようだ。

ライトノベル界の極貧蟹工船、いらん子小隊がんばってる?と散々な業界の評判になってる一迅社文庫のT澤です。そろそろ一周年も近く、編集者も増えたり減ったりしてましたが年末から新人編集H田君が「一人でできるもん!」になり、私が毎月3冊ずつ出さなくても良くなったりして、春先からは今度こそ刊行点数と質を向上させていきます。

これは一迅社文庫Ver.2.0が始まった頃のコメントだが、その後の刊行点数をみると、3月は従来どおり3冊で、4月には創刊第2弾以降初めて4冊刊行したものの、5月はまた3冊に戻ってしまった。6月は5冊出る予定だったが、看板作品の『死神のキョウ』3巻が延期につぐ延期で、今のところ4冊出る予定になっている。質のほうは全般的に向上しているようだが、今月分については不穏な噂が流れているようで予断をゆるさない。
蟹工船から脱出したら、そこは監獄部屋だった!」というようなことにならなければいいのだけど……と言いつつ、それはそれで面白いかも、と思ってもみたり。

*1:あくまでも主観的な意見です、為念。

*2:もっとも、そうなったらそうなったで「一迅社文庫は衰退しました」という見出しで思う存分ネタ記事を書くつもりだった。

*3:新規レーベル創刊時には、祝儀代わりに(?)書店の平台の目立つところに置かれることが多いので、実力以上に露出度が高く有利になる、という事情による。

*4:このたとえは今ではピンとこないかもしれないが、ライトノベル業界より桁違いに大きな市場規模を誇るマンガ業界の雄、小学館アメリカに見立てたものだ。その圧倒的な資金力とコンテンツをひっさげてラノベ業界に乗り込んできたら、既存レーベルにとっては大いなる脅威になるのではないかと一時期予測されていたことがあった。