浜松に2階建てLRTは必要か、というか2階建てLRTが必要なところなんてあるのか?

最近、LRT関連の記事をみるにつけ、陰謀論が脳内を駆けめぐるようになった。陰謀の黒幕はもちろん国土交通省だ。上の記事で紹介されている浜松型次世代交通システム研究発表会にも国土交通省の人が講師として参加しているし。
だが、どんなに妄想を逞しくしても2階建てLRT国交省の陰謀の一部だというストーリーは構築できなかった。無念だ。もっと妄想力が欲しい! 凄い路線図をみると、自らの妄想力の貧弱さがひしひしと実感され、惨めな気持ちになってしまう。
それはともかく。
真面目な話をすると、軌道系交通機関の中でLRTほど2階建てに向いていない乗り物はないのではないかと思う。ここにも書かれているようにLRT無段差が大きな特長であり、利点でもある*1。ところが、2階建て車輌になれば、どうやっても車内に階段を作らざるを得ない*2。となると、LRTの利点がひとつ損なわれることになる。
1階は高齢者や車椅子、乳母車用にして普通の座席は2階に設けるということだが、これではユニバーサルデザインというより隔離の思想だ。いや、理念の話を抜きにしても、2階座席への上り下りは電車の乗降時間の増加の原因となる。長距離列車の場合なら停車時間は相対的に短いのでさほど問題にならないかもしれないが、電停の間隔が短く頻繁に停車するLRTで、いちいち2階から降りる客を待っていては遅延が続出するだろうし、その分をダイヤに織り込めば表定時速が低下する。
浜松の交通事情がどのようなものなのかはよく知らないのだが、2階建て車輌の必要が見込まれるほどのものなのだろうか? 常識的に考えれば、増発するなり連接車を導入するなり、2階建て車輌を検討する前に考える手段はいくらでもありそうなものだが。案外、輸送量の想定に基づくのではなく「電池式なら架線や集電装置が不要だから2階建てにしても車輌建築限界内におさまるはず」という発想が先にあったのではないか、と邪推してみたくなる。
うーん。
浜松市近辺に住んでいる人に意見を聞いてみたいものだが残念ながら知り合いにはいないので、とりあえずシートン俗物記*3にリンクを張っておく。

*1:個人的には「低床型に非ずばLRTに非ず」と言わんばかりの最近の風潮には疑問があるのだが、高床型LRTであってもホーム面と床面の間に段差がないように設計するのが理想であることに違いはない。

*2:まさか、車内にエレベーターを設置するということはないだろうと思うが……。

*3:LRT - シートン俗物記LRTに関心のある人はぜひ一度読んでみるべき文章だと思う。人によっては「当たり前のことしか書いていないじゃないか」という感想しかないかもしれないが、その「当たり前のこと」が昨今のLRTを巡る議論の中では意外と見落とされているのだから。