名前のない概念

晩年のハチ公は、ハチ公像の前で帰らぬ主を待った。
ヒトラーは、「独裁者」をみたことがある。
この二つの出来事には何か共通するものがある。とはいえ、それは出来事を構成する事物や時間、空間ではなく、もっと抽象的なものだ。
その抽象的な「何か」は原理的には言語で言い表すことが可能だが、今のところ端的にその「何か」を指し示すことばは日本語にはない。