書店員の方々に於かれましては「自分が売りたい本」に固執することなく広く読書人の豊かな教養形成のため精進して頂きたく候

なんというか、単純に「既に売れている本をもっと売りたい」という感じのラインナップのような気がする。一人一人は必ずしもそう考えているわけではないのだろうが、集計してしまうと、当然のことながら、読まれている本ほど有利となる。二次投票のプロセスには問題はないと思う*1が、一次投票には改善の余地がある*2のではないかと思った。
本屋大賞には「発掘部門」もあるそうで、個人的にはこっちのほうが興味をそそられる。だが、これまで書店で発掘フェアをやっているのを見たことがない。
しかし、なんで対象作品が「日本の小説」に限られているのだろうか? 書店で売っている本は小説に限られるわけではないし、海外小説にもいいものがいっぱいあると思うのだが。

追記

政宗九氏は本屋大賞ノミネート10作品中、8作品まで当てたそうだ。氏の目利きの能力にケチをつけるわけではないが、星の数ほど*3新刊小説が出版されている中で予想がこれまど当たるのは、やはり売れる本と売れない本の二極分化が進んでいて、本屋大賞にノミネートされそうな本の候補が予め絞られているせいだろう。書店員がが二極分化を憂う必要はないかもしれないが、出版を文化としてみた場合には問題となるのではないかと思う。
まだ思いつき段階なのでうまく説明できないのだが、本の売り上げ冊数を横軸に、タイトル数を縦軸にとったグラフを書いたとき、正規分布から外れれば外れるほど、文化的に歪な状態だといえるのではないか。それを是正するためには「一部の売れている本の売れ行きを落とす」か「多数の売れていない本の中からある程度売れる本を作り出す」か、どちらかの策が必要となる。前者は論外だと思うが、後者はやりようによってはできるのではないだろうか。むろん、現在の本屋大賞のシステムではこんなことは無理だが。

*1:もっとも、各投票者が10作品全部読んでいるということをどうやって担保するのかは問題になるだろう。

*2:たとえば、対象作品すべてを含むチェックリストを作成し、各投票者がどの作品を読んでどの作品を推したのかがわかるようにして、何らかの基準で得点を傾斜配分するとか。まあ、現実には無理だろうが。

*3:比喩表現です。念のため。