テーマパークで愉快なひとりぼっち

去年の9月に長崎に旅行したときに、ついふらふらと某テーマパークに入ったときに思いついたことがある。それから5ヶ月の間ずっと考えていた……わけではなくて、実際のところほとんど忘れていたくらいだから、全然考えが煮詰まっていないのだが、このまま寝かせておいても発展性がなさそうな話題なので、今ここで公開しておこうと思う。
その時思いついたことというのは、「これからのテーマパークは一人客をターゲットにすべきではないか」ということだ。別にテーマパークに限らず、ほかの娯楽施設や観光施設についても同じことが言えるのだが、特にテーマパークについて強く言いたい。なぜなら、今のテーマパークは、一人客には非常に敷居が高い存在だからだ。
嘘だと思うなら、一度、一人でどこかのテーマパークに行ってみるといい。鼠のいるところでもいいし、地面に六価クロムが埋まっているところでもいい。ひとたび園内に入るやいなや、あたりはカップルと親子連れと修学旅行客と中国人ツアー客だらけ*1で、あなたは非常に居心地悪い思いをすることだろう。
高い金を払ってわざわざ居心地の悪い思いをしにいく人は稀だから、多くの一人客はテーマパークには行かない。ということは、テーマパーク側にとっては、貴重なビジネスチャンスを逃していることになるではないか。
今まではそれでもよかったかもしれない。だが、これからはどんどん孤独な人が増えてくる。家族もなく、恋人もなく、友人もなく、いつもひとりで夢も希望もなく寂しく日々を暮らす人々が。そのような人に一時の夢を与えることができるならば、そのテーマパークはいつも大繁盛だろう。
狙い目は団塊ジュニア世代の独居中年だ。子供がいないからそこそこ小金を貯め込んでいるから、うまく魂を揺さぶることができれば、たんまり金を搾り取ることができるだろう。生きる張り合いがなく、ちょっとつつけばぽっきりと折れて死んでしまうような人に、最期の夢を見させてやろうではないか。
「一人で楽しくU○J!」
「冥途の土産にディズ○ーリゾート!」
こんなキャッチフレーズはいかがだろう?
カップルや家族連れから隔離しないといけないし、一人でしみじみ楽しめるアトラクションを開発するには相当工夫が必要だ。だが、一度ノウハウを会得すれば、あと10年や20年は高収益体質を維持できるだろう。団塊ジュニア世代ほど絶対数は多くないにしても、その下の世代にも、さらにその下の世代にも、他人と円滑なコミュニケーションがとれず、いつもひとりでぽつんと立ちつくしている人が相当数いるはずだ。コミュニティが崩壊し、個人が分断された今、ひとりぼっちの人は増えこそすれ、決してなくなることはない。
既に、目端のきくテーマパーク関係者は、団塊の世代の大量退職に目をつけて、中高年向けのプラン開発に余念がないことだろう。まあ、それも一案だ。でも、収入が途絶えて老後の生活に不安を感じる世代より、現役世代に目を向けたほうが、より収益アップがはかれることだろう。
もし、この文章を読んでいる人の中でそっち方面の業界の人がいたら、ぜひ一人客向けプランの検討をお願いしたい。プランが実現したら、一度行ってみたいものだ。

*1:ほかには女性の二人連れもたまに見かける。今回の話題とは関係ないのだが、女性の二人連れがテーマパークにいても全然違和感がないのに、男性の二人連れだと白い目に晒されるのはなぜだろう?