少し時期外れだけど「電クラ」について語ってみる

2008年2月22日付の記事なのだけど、このCD、去年末にはもう売ってたよ?
12月30日にコミケ合わせのオフ会が有楽町で開催されて、それに参加するために早めに会場を抜け出したら少し早く着きすぎたので銀座の山野楽器のクラシックコーナーで適当に試聴して暇つぶしをしていたら、なんか調子の狂ったヴィヴァルディとか、踏切音が混じったバッハの無伴奏とかが入っていて、「これはなんだ?」と思って試聴機の上のCDで確認しようとしたのだが、ちょうど売れた後でそこだけ空いていてアルバムのタイトルも演奏者もわからず、そこで店員に尋ねたら企画物の棚に案内してくれて「電クラ2」だとわかったので、これも何かの縁かと思い、ふだんはめったに企画物など買わないのだが、「電クラ」とあわせて買った次第。

電クラ

電クラ

電クラ 2

電クラ 2

  • アーティスト: 杉ちゃん&鉄平
  • 出版社/メーカー: ユナイテッド・アジア エンタテインメント(ADI)
  • 発売日: 2007/12/19
  • メディア: CD
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正月に2枚続けて聴いてみたのだが、よく出来ているのもあれば、かなり苦しいのもあり、全体の評価としては「よくがんばりました」という程度。その中でいちばんを選ぶとなると、これはやっぱり「山手線上のアリア」*1だろう。バッハの「エア」に山手線内回りの発車メロディを池袋から順に一周するまで重ねていったもので、下手すればトーン・クラスターになりかねないのに、絶妙な編曲テクニックにより見事なハーモニーを奏でているという恐るべき曲だ。大バッハ自身も、「ゴルトベルク変奏曲」第30変奏で似たようなことをやっている*2が、あっちは任意のメロディ、こっちは山手線縛り順序指定だから難易度は全然違う。もしバッハが生きていて「山手線上のアリア」を聴いたら、きっと賞讃を惜しまなかっただろう。そう考えると、バッハの早逝が悔やまれる。
鉄道趣味的には「?」という気もするが、変な音楽が好きな人にはお薦めしたい。

*1:「電クラ」「電クラ2」両方に入っているので、どちらを買っても聴けるが、2ヴァージョン収録されている「電クラ」のほうがお薦め。

*2:「クオドリベット」という曲種というか技法というか趣向。このあたりを参照。ほかBWV524もクオドリベットだが、こっちはかなりマイナーな曲だ。どうでもいいが、今調べてみると、BWV524はシュミーダー番号で声楽曲の最後だった。