ある閉ざされた雪の山荘で

雪山飛狐 (徳間文庫)

雪山飛狐 (徳間文庫)

大長篇の多い金庸にしては珍しく1巻でコンパクトにまとまった作品。
出てくる奴出てくる奴ことごとくしょぼくれた小悪人で、あーこりゃこりゃ*1と思っていたら、回想シーンに出てくる主人公の父とその好敵手が非常にいい奴でほっとした。
肝腎の主人公は見せ場も少なくてあまりぱっとしないが、『飛狐外伝』では活躍しているのだろう、たぶん。
結末にちょっと面白い仕掛けがあるのだが、訳者あとがきでほとんどばらされてしまったも同然だったのが残念だ。
1冊で読みやすいから金庸の入門に最適、と言い切るにはためらいもあるが、まあそこそこ面白くて退屈しないし、このほかにもっと面白い作品があると思って読めば期待を高めてくれることだろう。

*1:特に意味はありません。ただの合いの手。