車椅子探偵アリス

S-Fマガジン 2009年 05月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2009年 05月号 [雑誌]

S-Fマガジン5月臨時増刊号*1「STRANGE FICTION」*2はまぞうで検索したら、なぜか本誌の5月号のデータが出てきた。飾りのつもりでリンクを張っておく。
さて、「STRANGE FICTION」だ。
ここに写真があるが、表紙いっぱいにずらずらと作家の名前が書かれている。書店でこの雑誌をみかけたとき、表紙のリストの中に米澤穂信の名前を見つけたので小説が載っているのかと思って買ってしまい、損をした。1ページに3人ずつ作家紹介をしているページで取り上げられているだけだったのだ。いやー、表紙買いなんてしちゃいけませんなー。
ちなみに、米澤穂信の紹介記事*3にはこんなことが書いてある。

ライトノベル風の学園ミステリ「古典部シリーズ」や「小市民シリーズ」から始まった米澤穂信の作品世界は、『さよなら妖精』『犬はどこだ』という傑作を転回点として、不思議な方向に展開している。この作家をライトノベルやミステリという言葉だけで語ることはできない。

どんなライトノベル作家やミステリ作家でも、ふつうライトノベルやミステリという言葉だけでは語ることはできないと思うのだが……。というか、この書き方だと『さよなら妖精』が「小市民シリーズ」より後の作品だと読まれてしまうんでは?
同じ人が桜庭一樹の項でも変なことを書いている。

女の子向けに書かれた小説なのに、桜庭一樹の作品は男にも面白く読める。かつて少女マンガに起きたことが、小説でも起きている。それはなぜだろう。

いや、桜庭一樹の小説は女の子向けじゃないから。ラノベ時代の作品はみな男の子向けレーベルから出ている*4んだから。
なんだかなー、と思いつつ、ほかの人が書いた紹介文もざっと見ていくと……。

杉井光は、ここ数年、最も勢いのあるライトノベル作家の一人だ。速筆かつ多彩な作風で知られる書き手であり、デビュー作は古代日本風世界が舞台の伝奇『火目の巫女』だが、ニート・ブームを受けてニート美少女を車椅子探偵にしたミステリ『神様のメモ帳』(以下略)。

ああ、やっちゃってるよ……。

神様のメモ帳 (電撃文庫)

神様のメモ帳 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈2〉 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈2〉 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈3〉 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈3〉 (電撃文庫)

書影をみればわかる通り、ニート美少女アリスは二本の足で立っています。
とんだエイプリル・フールでありました。

おまけ

唐突ですが『神様のメモ帳』は「安楽椅子探偵」ものとして、とても面白い小説だと思ってます。

*1:表紙では「SFマガジン」と表記されているが、ここでは奥付に従い「S-Fマガジン」と書いておく。

*2:S―Fマガジン2009年5月増刊号:ハヤカワ・オンライン参照。

*3:これを書いた本人にとっても恥ずかしい文章だろうと思うので、あえて筆者名は伏せておく。

*4:男の子向けレーベルから出ていても女の子向けに書いた作品だということは論理的にはあり得ないことではない。しかし、それだと少女マンガを引き合いに出した意味がない。