尺度の問題

もえたん 萌える探偵小説の次回*1の課題本2冊、『飾られた記号』と『トリックスターズ』の両方を読んだので、生まれて初めてこの企画に参加してみようと思い立ったのだが、一つ大きな問題があり、手をこまねいている。それは、どうやって点数をつければいいのか、皆目わからないということだ。
10点満点で0点もありだから、十一段階評価となる。それぞれの作品に任意の点数を割り振るとすれば、121通りの可能性があるわけだが、その中で選べるのはたった1通りだ。一読した印象でいえば、『トリックスターズ』のほうがやや面白かったが、それでも66通り*2の可能性がある。これでは話にならない。
そこで、『飾られた記号』と『トリックスターズ』以外の作品で、点数の尺度になりそうなものを思い浮かべてみる。これまでに読んだミステリ系のライトノベルのうち、もっとも面白かったものと、もっともつまらなかったものを基準にしようというわけだ。
さて……。
ライトノベルとは何ぞ哉、ミステリとは如何、などと考えても仕方がない。件の2作品に点数をつけるための物差しとして機能すれば足りるのだから、素直に次のように考えることにした。
ライトノベル:ライトノベルレーベルから刊行されている小説
ミステリ:江戸川乱歩が『幻影城』で定義した「探偵小説」に該当する小説
これまでに読んだ最高のミステリ系ライトノベルは『アイドルは名探偵3 愛してるっていわせたい』と『愚者のエンドロール』だ。これを一方の端に置く。
逆に最悪の作品は……こっちは伏せ字にしておこう。『×××××』と『○○○○○』と『△△△△△』だ。『×××××』はただただ単純に内容がなくてつまらない話で、『○○○○○』ははったりとこけおどしだけの話、そして『△△△△△』はその中間だ。あ、全部富士ミスだ。
両端が決まれば、あとは目盛りをつけて課題本を適当な位置に配置するだけなのだが、その前にちょっと考えてみる。なるほど『アイドルは名探偵3』も『愚者のエンドロール』も傑作だ。だが、ミステリ系ライトノベルの可能性がこの2作で限界まで展開されたといえるだろうか?
希望的観測かもしれないけれど、「否!」と答えたい。ラノベは若く、ラノミス*3はもっと若い。どちらかといえばSF寄りの作品を中心に発達してきたラノベに、ミステリはまだ十分に浸透しているとはいえない。とすれば、これら2作をもって最高点とするのは粗忽の極みではないだろうか。
そこで、『アイドルは名探偵3』と『愚者のエンドロール』を仮に8点とする。
次に、最悪のラノミス三馬鹿トリオの点数を決めよう。いずれが大和か青函か*4というこれら愚作群は、確かに読後感は最低だったが、今後出会うかもしれないいかなる駄作に比べても劣るとは言い難い。そこで、これらを2点とする。
ついでに、「ラノベ界の二大ミステリシリーズ」と勝手に呼んでいる2つのシリーズについても触れておこう。それは『平井骸惚此中ニ有リ』と『GOSICK』だ。どちらのシリーズも巻によって出来不出来があるが、水準を下回る駄作はひとつもない。だいたい5〜7点というところか。
これで、だいたい物差しの目盛りが完成した。あとは『飾られた記号』と『トリックスターズ』に物差しをあてるだけだが……最後まで書いてしまうと「もえたん」に投稿する意味がなくなってしまうので、ここまで。

*1:第14回。7/3締切

*2:両作品の面白さの違いが誤差の範囲内だと評価する場合を含む。点数に差をつけることを前提とすれば、55通りになる。

*3:何となく縮めてみた。

*4:戦艦大和青函トンネル、そして伊勢湾鍋田干拓をあわせて「昭和の三大バカ査定」と呼ぶ。