バセットホルンとナチュラルトランペット


今年の古典その1、メンデルスゾーンの「序曲」。普通は現代編成に合わせた編曲版が演奏されるのですが、今回はバセットホルンやナチュラルトランペットなど、古典管楽器を可能な限りそろえたほぼ原典版による演奏。これこそプロオケ奏者の腕の見せ所。バロックの雰囲気*1に満ちた素晴らしい演奏。
へぇ、メンデルスゾーンの時代でもバセットホルンやナチュラルトランペットが使われていたんだ。ちょっと意外だった。
何となくバセットホルンといえばモーツァルトの時代の楽器、ナチュラルトランペットはバロックから古典派にかけての楽器、というイメージがあって、いずれにせよロマン派の時代には廃れてしまった古楽器*2だと思っていた。
ウィキペディアで調べてみると、ナチュラルトランペットについては、

さらに1827年にはフランス人のラバイェによってピストンが発明された。また、ウィーンではウールマンによってウィンナー・ヴェンティルが発明された。1832年にウィーンで、ヨセフ・リードルがカステン・ヴェンティルを改良し、初めてロータリー式を発明した。一方ベルリンでは1857年にモーリッツがプンペン・ヴェンティルを発明し、これはベルリナー・プンペンと呼ばれた。そして1839年にパリにおいて、ペリネが現在のものと殆ど同じ3本ピストンのトランペットを発明した。一応形の上では完成された楽器といえたが、まだ問題点があったらしく、ベルリオーズワーグナーは、この楽器の発明後もあえてナチュラル・トランペットを使って作曲している。
と書かれているので、メンデルスゾーンナチュラルトランペットを用いていても不思議はない。というか、「序曲」が作曲された1824年当時にはピストン付きのトランペットはまだなかったのだから、使いようがなかった。
しかし、バセットホルンについては、

クラリネットとは若干異なる楽器であるが、かつてはFのアルトクラリネットで代用された。モーツアルトの時代に発明されたとされ、彼の作曲した有名な《レクイエム》に編成として加わっている。
という程度の記述しかない*3ので、メンデルスゾーンの時代にどの程度使用されていたのかはよくわからなかった。果たしてバセットホルンはメンデルスゾーンの認識では古楽器だったのか、現代楽器だったのか?
メンデルスゾーンのことはモノグラフの中の人に訊けば知っていそうな気もするのだが、今なにやっているんだろう?

*1:引用者註:メンデルスゾーンバロック期の音楽家ではないので、これは「擬古楽的」という程度の意味だと思われる。「序曲」そのものを聴いたことがないので断言はできないけれど。

*2:吹奏楽系の人は「古典楽器」という言葉をよく用い、上の引用文でもそうなっている。「古楽器」と「古典楽器」の間には若干ニュアンスの違いがあるような気もするが、ともあれバセットホルンとナチュラルトランペットを古楽器のうちに含めることに問題はないだろう。

*3:「ホルン」の項では名称に言及されているのみ。