あれは1年前のことでした

あれは忘れもしない1年前の9月23日のことでした。その日の日記を見ても当たり障りのないことしか書いていないけれど、実はその日には非常に驚くべき出来事――いやむしろ「事件」と申し上げたほうがよろしいでしょう――が起こったのでした。
書くべきか、書かざるべきか。
この日記の基本方針の一つに「人に会った話は書かない」というものがありまして、もしあの事件のことを書くとすれば、その方針にあからさまに違反することになります。そこで躊躇しているうちに1年が過ぎてしまったのです。
もういいでしょう。さすがに時効でしょう。今から1年前のあの事件について、見たまま、聞いたままを書き記すことにしましょう。
……と思ったのですが、うかうかしている間に日付が変わってしまいました。こういうことは、やはり記念日に勢いをつけて行うべきでして、その機会を逃してしまった今となっては、急速に意欲が失せていくのを感じます。
やめておきましょう。9月23日は今年でおしまいということもないのですし。来年の9月23日に、もし「一本足の蛸」が存続していれば、その時こそあの事件について語ることにしましょう。そして、今年9月17日の後日談も一緒に。