食の百物語

極道めし 1 (アクションコミックス)

極道めし 1 (アクションコミックス)

食い物をうまそうに描くことにかけては土山しげるの右に出る者はいまい。左に出る者ならいるかもしれないが、ごくわずか*1だろう。その類稀な力量を最大限に発揮したのが、この『極道めし』だ。世に勝負マンガは数知れず、料理をテーマにした勝負マンガも多いが、このマンガが扱っているのは料理を作る勝負でもなければ、料理を食べる勝負でもなく、料理についてうまそうに語る勝負なのだから。
「語り」がテーマだけあって動きは少ないが、それでいて退屈することはない。なぜなら、そこには「食の百物語」ともいうべき、めくるめく物語の世界が開けているからだ。もしくは、「食の『デカメロン』」でも「食の『ハイペリオン』」でも好きなように呼んでいい。何と呼ぼうが、うまいものはうまいのだから。
読むべし。