正字の迷宮

何を血迷ったか今回の本は正字旧かなで行くことに。こう言ってしまえば簡単だが、実際にやろうとすると、それはそれは恐ろしい茨の道なのである。巷で出ているほとんどの本はたとえ旧かなであったも新字であるのを見れば、その恐ろしさの片鱗が理解できようではないか。

案の定、一考尊師の教えのごとくほとんどすべての漢字を漢和辞典で引く羽目に。

漢和辞典を何冊か開いて、同じ漢字についての説明を見てみると、ある字書が「○の本字」としている字が別の字書では「正字」となっていたり、ある字書では「俗字」で別の字書は「譌字」であったりと、一定しないのです。一冊で「○は△の本字」とあるのに、もう一冊では△の項に「○とも書く」とあり、さらに別の字書では○と△を別々に掲げていて異体字扱いをしていなかったりということもあります。