叙述トリックとフェアプレイについて書かれた次の文章を読んで問いに答えなさい

話題の移り変わりが激しいウェブの世界では、今こんな話を持ち出すのはもう時代遅れかもしれないが、思いついたのがついさっきのことだったのだから仕方がない。では行きます。

中二病の魔王の中の人*1は実は男性だが、巧妙な叙述トリックによりあたかも女性であるかのように描写されている。もちろん、地の文で明確に女性だと書かれているわけではない。なお、作中のプロットとは直接関係ないが、中二病の魔王の中の人の職業は{看護師・助産師}だと地の文で書かれている。もちろん、これも性別を誤認させるための仕掛けの一つだ。事件の謎を解くための手がかりは豊富に与えられており、中二病の魔王の中の人が男性であることにさえ気づけば、容易に謎解きが可能であるが、女性だと思いこんでいる限り、登場人物の中に犯人の条件を満たす者がいないため、真相を見抜くことができない。

この文章の中の{ }内の語の選択によって、このミステリの評価はどうなるか。
  1. 中二病の魔王の中の人の職業が看護師の場合にはフェアだが、助産師の場合はアンフェアとなる。なぜなら、男性は看護師になれるが助産師はなれないので、地の文で嘘をついたことになるからだ。
  2. 中二病の魔王の中の人の職業が看護師であれ助産師であれ、叙述トリックを使った段階でアンフェアだ。なぜなら、作中に明示されていないが通常は読み込んで差し支えないと思われるさまざまなデータのうち、中二病の魔王の中の人の性別を示唆するデータのみ疑うべきであり他のデータはそのまま受け入れるべきだというルールが示されていない以上、暗黙のうちに了解されている事柄すべてが等しく疑いの対象となりえるのだから。
  3. 中二病の魔王の中の人の職業が看護師であれ助産師であれ、アンフェアだということはない。中二病の魔王の中の人が女性だとすれば答えが出ず男性だとすれば答えが出るのだから、そのことから中二病の魔王の中の人の性別は男性であることが確定するので、読者には解決に必要な十分な手がかりが提示されている。男性が助産師になれないというのは現実世界における現代日本の制度を前提とした話であり、中二病の魔王の中の人が男性であると確定している以上、作中世界では男性も助産師になれるのであり、地の文で嘘をついたことにはならない。

*1:実在する特定の誰かのことを指しているわけではない。仮にモデルがいるとしても、その人には会ったことがないので性別はわからない。来年厄年らしいが、年齢はいくつなのだろう?