ブロッコリーの自給率は50%か80%か

趣味の経済学 アマチュアエコノミストのすすめから。例によってタグは適宜変更している。

ブロッコリー自給率は80%?>

 ブロッコリーの国内消費量の約半分は国産で、残りの半分はアメリカからの輸入ということになっている。だからブロッコリー自給率は50%というのが正しいように言われる。ここで、畜産品の自給率のことを思いだしてみよう。品目別自給率に飼料自給率を掛けることによってカロリー自給率が導き出される。「食料自給率が40%を割った」と言う「自給率」とは、「カロリーベース総合食料自給率」のことを言う。この計算の趣旨を尊重するならば、種子の自給率も考慮しても良いはずだ。ブロッコリーについて言えば、輸入されるアメリカのブロッコリーの60%は日本の種子会社「サカタのタネ」の種子を栽培して出荷したものだ。「カロリーベース自給率」の計算を応用すれば、50%+(50%X0.6)=80% となる。つまり、ブロッコリーの「カロリーベース自給率」は80%ということになる。
 このことは単に「数字上のマジック」とか、「数字のお遊び」ではない。「日本でのブロッコリーの安定供給に外国の影響を受けない割合」という点に注目すれば、大きな意味を持つことが分かるはずだ。アメリカが「わが国の言うことを聞かなければ、ブロッコリーの輸出を制限するぞ」と脅しを掛けてきたら「結構ですよ。それならば、日本の種子会社「サカタのタネ」にブロッコリーの種子をアメリカに輸出しないように行政指導することになるでしょう」と言えば良い。

この考え方だと、国産ブロッコリーがゼロになっても、アメリカのブロッコリーがみな「サカタのタネ」の種子を使えば、ブロッコリー自給率は100%という計算になる。
そういう計算もありだとは思うが、カロリーベース自給率の考え方とは相当違ったものになるような気がする。