音楽の趣味

今日、ひとから音楽の趣味を訊かれた。
面倒なので「クラシックみたいなもの」と答えておいた。
相手は「邦楽だったら何でも聴くよ」と言っていたが、試しに「谷山浩子って知ってる?」と訊いたら「知らない」と答えられた。「何でも聴く」というのは「選り好みしない」という意味だと思うが、自分で選ぶまでもなく予めメデイアを通じて選択の幅が決められているということに気づいていないのだろう、と言いたかったが、そんなことを言っても人間関係がぎくしゃくするだけなのでやめておいた。
ああ、大人になったものだ。
先日、スティヴ・ライヒについて書いた。案の定、コメント、リンク、トラックバックなどの反応は一切なかった。でも、はてなキーワードになっているので、そのうち誰か関心のある人の目にとまることがあるかもしれない。
インターネットの海は広く大きい。CDが出るくらいにメジャーな音楽なら、近所には同じ趣味の人がいなくても、世界のどこかにはきっと同好の士がいるはずだ。他人と趣味を共有することの大切さは否定しないが、別に近場の人に合わせる努力は必要ない*1
ちなみに今聴いているCDは、「J.C.ペーツの組曲と協奏曲~ドイツ最初期の「混合様式」~」だ。ヨーハン・クリストフ・ペーツというドイツの作曲家の作品集で、販売元の紹介文をみるとテレマンが脱帽した作曲家だという点を強調しているが、今この文章を読んでいる人の中ではペーツはもとよりテレマンを知っている人すら数少ないと思う。
だが、それでいいのだ。
興味ない人は読み飛ばせばいい。やがてネットの海を渡って誰かがやってくるだろうから。
ミクシィをはじめとするSNS*2に今ひとつ馴染めないのは、この「ネットの海を渡ってやってくる誰か」を遮蔽するものだからかもしれない。コミュニティの居心地のよさ、という利点は理解できるのだけど、不特定多数の人々に開かれた空間で知らず知らずのうちに形成される曖昧なコミュニティもどきのほうが性に合っているもので……。

追記

本を読む理由は何か - 萌え理論Blogを読んで、音楽の趣味と重なり合う点があるように思った。
そういえば、履歴書の趣味欄に書く「読書」と「音楽鑑賞」は無趣味の代名詞だという話を思い出した。今の話題と関係あるのかどうかはわからないけど。

*1:ちょうどこの文章を書いているときにはてなブックマーク - 趣味って人と共有してナンボだろ?を見たらまさに同じこことを言っている人がいた

*2:ソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Network Service)」の略。別にミクシィが最初というわけではありません。