ライトノベルの空虚な「元気」

フジサンケイグループのライトノベル記事一覧 - 平和の温故知新@はてな経由で知った記事について、少しぼやいてみる。

応募総数3541本。アスキー・メディアワークス(東京都新宿区)が主催するライトノベルの新人賞「第15回電撃大賞」に寄せられた小説の本数だ。田中康夫氏や綿谷りささんを送り出した伝統ある「文藝賞」でも応募は2000本程度。若者の間でライトノベル人気は一般文芸をはるかにしのぐ。

素直に読むと、新人賞への投稿本数の多寡がそのまま読者の間での人気を反映しているという法外な主張のように思えてしまう。「若者の間」の前に「作家志望の」という修飾語が必要ではないか。

直木賞作家の桜庭一樹氏、「橋をめぐる」が文藝春秋社から出る橋本紡(つむぐ)氏のように、ライトノベル出身の人気小説家も目立ち始めた。ライトノベルは一般小説の市場も凌駕(りょうが)しつつある。

ライトノベル出身作家のいわゆる「越境」は、見方によればライトノベルからの脱出ともいえる。ライトノベルが一般小説の市場を凌駕しつつあるという主張を擁護する材料にはならない。
いくら「ミリオンセラーが続出」でも「累計600万部」ではしまらない話だ。なんだか必死で「元気」をアピールしようとしているような虚しさを感じた。