今年読んだ5冊めの海外ミステリ
- 作者: デイヴィッド・ゴードン,青木千鶴
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/03/10
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 159回
- この商品を含むブログ (84件) を見る
この『二流小説家』の場合はどうか? この小説は次の一文から始まる。
小説は冒頭の一文が何より肝心だ。
どうもぱっとしない。むしろ、冒頭の一文としては、次の文のほうがよかったのではないか。
それはある朝、ビジネスパートナーでもある十五歳の女子高生の手を借りて亡き母の扮装をしていたとき、死刑囚監房から送られてきた手紙を開封し、ある連続殺人鬼がぼくの大ファンであることを知ったときに始まった。
残念ながら、この文は最初から46番めの文だ。いや、もしかしたら47番めの文かもしれない。ともあれ、この一文の前には前口上とも語り手の言い訳ともつかない文がいくつも並んでいる。このような語り口はその後も繰り返し現れ、作中に挿入される二流小説の断章の数々とあいまって、この本の厚みを増すのに寄与している。
正直にいえば、このような書き方はあまり好きではない。他のジャンルの小説はともかく、ミステリには適正な長さというものがある。その作品の中核的なアイディアが自ずと作品全体の長さを決めるのだ。その観点からみれば、この小説はちと長すぎるように思う。もっとも、長いわりには飽きずに読める。それが救いといえば救いだが。
今年は海外ミステリを5冊以上読むという目標を立てていたのだが、『二流小説家』はちょうど5冊めにあたる。確か、この日記では今年読んだミステリの感想を書いていなかったはずなので、ついでだから残り4冊のタイトルだけでも掲げておこう。全部、図書館で借りて読んだ本で、少し、またはかなり古い作品ばかりだ。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))
- 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (92件) を見る
- 作者: ヘイク・タルボット,森英俊
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/05/08
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (19件) を見る
- 作者: R.D ウィングフィールド,R.D. Wingfield,芹澤恵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1994/09/21
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 275回
- この商品を含むブログ (79件) を見る
- 作者: ボリスアクーニン,沼野恭子
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2001/04/01
- メディア: 単行本
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (11件) を見る