バロック?

プラ・バロック (光文社文庫)

プラ・バロック (光文社文庫)

警察小説はあまり好きではないし、近未来を舞台にした*1警察小説ともなるとますます好きではないのだが、タイトルには興味を惹かれた。もしかしたらバロック芸術と何か関係があるのかも、と思ったからだ。
だが、タイトルの「バロック」は美術史や音楽史の用語としてのそれではなく、原義のほうだった。
バロック」の語源について、参考のため友桐夏の『楽園ヴァイオリン』あとがきから引用しておこう*2

バロックという言葉は、ポルトガル語の《歪んだ真珠》が語源だそうです。大袈裟で仰々しく、余計なものがいっぱいくっついていて、きらびやかで装飾過剰。それがバロックです。

『プラ・バロック』の主人公は歪んだ真珠を身につけている。この小説そのものが大袈裟で仰々しいわけではない。
余計なものがいっぱいくっついて長ったらしい小説は読んでて疲れるので、そういう意味で「バロック」的ではなくてよかったのだけど、全体的にお上品で、少し物足りなく感じた。映像化すればかなり華やかになりそうだが、「Aだと思ったら実はB」という例のアレ*3は、文章だけではイメージしづらかった。
そのほか、いろいろ思うところはあるのだが、あまり長々書いてもたいした感想文にはなりそうにないので、今日はここまで。

*1:実際に読んでみると、年代はぼかされているので近未来かどうかはわからないのだが、有栖川有栖の解説でそういうふうなことが書かれていたので、近未来小説だと思って読んだ。

*2:別にそこから引用する必要は全くないのだが、たまたま手許に本があり参照しやすかったので。

*3:『プラ・バロック』既読で、「例のアレ」では何を指して言っているのかわからないという方だけここをクリックしてください。