馬が西向きゃ尾は下向き


モニターに日本地図が映っている。その映像が九州全体のアップから四国全体のアップへと横に動くとき、それは「右へ動く」のか「左へ動く」のか。…てなことを終電の地下鉄で話した。テレビやビデオの制作者なら「右へ動く」と言う(右パンと呼ぶ)。しかしフラッシュなどのデジタルデータの制作者は「左へ動く」と言うらしい。前者は自分が構えたテレビカメラを「左から右へ動かす」が、後者は自分が手にした地図を「右から左へ動かす」感触なのだそうだ。
この文章を読みながら、頭の中に日本地図を描いてみた。本州、北海道、九州、四国……。ほかにもまだ島はあるけれど、細部までイメージする必要はない。
いったん日本地図全体を見通したのち、右上の九州にズームイン。そこからカメラを左横に動かして四国へ。さらに左へと動かすと紀伊半島が見えてくる。さらにどんどん左へと動かし、関東平野が映し出されたところで、今度はカメラの動く方向を下に変える。
下へ、下へ。東北地方を縦断して日本海へ。そのまま下へ進むと沿海州まで行ってしまうので、そこでストップ。もう一度カメラを左へ動かす。東北地方を横断して太平洋へ。
ここでまた向きを変えて、下へと動かす。さあ、北海道だ。襟裳岬から十勝平野を経て、道北へ。さらに下へ下へ。
そして、最果ての地、稚内に到着。この下には樺太があるが、今はもう日本領ではないので、これで打ち止め。