漠とした不安

平和の温故知新@はてな - 新人さん調査を見ると、近頃電撃文庫から多くの新人作家が生まれていることがわかる。*1これが非常に気になる。
気になる理由の一つは、デビュー作を読んだ限りでは「商業作品としてはちょっと……」と思われるものがいくつかあったことだ。もちろん、この感想は一読者の主観的なものであり、気になるなら新人作品を読まなければいい、と言ってしまえばそれまでなのだが。
もう一つ気になる理由があって、それは大量デビューした新人作家のうちどれくらいの人が生き残れるのかということだ。知人に来年2月にデビューする予定の人がいるので、少し心配になったのだ。これも、最終的には本人の能力と努力の問題に過ぎないと言ってしまえばそれまでなのだが。
そんなことを考えていたところ、少しニュアンスが違うものの似た心配をしている人がいた。


それから、新人さんがどかっと出てきて、そしてばらばらと辞めていくというこの異常事態が一番どうかと思う。特に、ライトノベルを書くための専門学校出身者っぽいのがばらばらと出てきて、それぞれしっかり良いのに、どうして味付けが似通っちゃうって言うか、三冊並んでいてどれがいいか、といった場合に「三冊全部買う」という選択をする人が今少ない以上、どうしてもこう、作家の地位というといいすぎかもしれないが、一人ひとりの作家さんに行くお金が減っているんじゃないかという余計な心配もしたくなってくる。
不安だ、心配だ、とばかり言っても仕方がないので、別の意見も見てみよう。

今「ライトノベルブームが終わったらどうなってしまうのだろう」「レーベルの乱立が破局を招くのではないか」ということがよく話題になっておりますが、そもそも現在あるライトノベルは真っ直ぐに伸びてできたのではありません。かつて無数に伸びた枝葉の生き残りなのです。たとえレーベルが次々と枯れたとしても、また新しい芽が出てくるでしょう。そのしぶとさ、たくましさ、ずうずうしさが現在便宜上ライトノベルと呼ばれている作品群の魅力なんです。
ライトノベルの歴史を振り返り、その生命力の強さを指摘していて、実証的であるだけに重みのある主張だ。ただし、さすがのぎをらむ氏もそれぞれの作家の生命力には言及していない。
個体発生は系統発生を繰り返す。叩かれても干されてもしぶとく、たくましく、ずうずうしく生き延びてくれるといいのだけれど。

*1:他レーベルではどうなのだろうか? それぞれのレーベルで発行点数総数のうち新人デビュー作が占める割合を調べてみると面白いと思うのだが、誰かやってくれないだろうか。