要素と集合と構成物


 この様な論法を、しばしば目にする。「過ぎる」とか「過ぎない」とか、使うと便利な言葉だけれど、集合の要素と集合それ自体を同一に扱うこと、それ自体がアレなんじゃないかと何時も思う。命題内部でメタを発生させてメタゲームを開始するのは楽しいけどね。

 何時も思う比喩は、こんなの。

「小説は、アルファベットの羅列に過ぎないのか?いや、アルファベットの文字列であるが、過ぎもしないし戻りもしない」

「集合の要素と集合それ自体を同一に扱うこと」というのがピンとこない。要素がひとつしかない集合ならともかく、ふつうは集合と要素を混同する人などいないだろう。
混同の可能性があるとすれば、構成物と集合だろう。たとえば、100個の煉瓦から構成された壁と、同じ100個の煉瓦を要素とする集合は全く別物だが、これは混同されることがある。