ライトノベルの楽しい書き手たち

女帝・龍凰院麟音の初恋 (一迅社文庫)

女帝・龍凰院麟音の初恋 (一迅社文庫)

一迅社文庫の感想は毎回その月の新刊分をまとめてアップすることにしているので、本文についての感想は控えておいて、あとがきについてのみ言及することにする。
わざわざあとがきを取り上げたのはほかでもない。ここに謎のヴェールに包まれた池袋サロン(仮)の実態を探る手がかりが書かれているからだ。
池袋サロン(仮)とは何か? たぶんそんなものを知らない人が大部分だろう。だってこの言葉、ついこの間思いついたフレーズで、ここで初めて公にする*1のだから。そして、この言葉は広まることなく消えてゆくのだ。ああ悲しいなぁ。一度でいいから「現代学園異能」みたいに自分の作った言葉を定着させてみたいなぁ。
閑話休題
その昔、トキワ荘という有名なアパートがあった。また、「女性版トキワ荘」とも呼ばれる大泉サロンもよく知られている。どちらもマンガ家たちの溜まり場で、若い才能が集い、交流することで、幾多の傑作が世に送り出されていた。日本マンガ史に興味のある人にとっては、無視できないポイントだ。
さて、マンガに比べると歴史の浅いライトノベル界にも、いまトキワ荘や大泉サロンに匹敵するような溜まり場が池袋にあるらしい、という話をよく見聞きする。だが、池袋の溜まり場に集うメンバーの全体像や、そこに作家たちが集うことになった経緯などは、あまり詳らかにされてはこなかった。また、その溜まり場の性格についても、「出版社が提供している場所」だとか「共同事務所」だとか*2諸説あって判然としなかった。
そのあたりの事情が、『女帝・龍凰院麟音の初恋』のあとがきでかなり詳しく書かれている。さすがに具体的な場所はぼかれているが、これだけでも貴重な一次史料として、後世のライトノベル史家の必読文献になることは間違いない。
……と、先走ってしまったが、トキワ荘や大泉サロンとは違って、今のところ池袋サロン(仮)から生まれた作品と呼べるものは存在していない。ただ、先日創刊された某抱き枕雑誌によれば*3来月発売予定の『ばけらの! (GA文庫)』がどうやら池袋サロン(仮)絡みの作品のようで……と書いていると、ちょうど平和氏が紹介している。先を越された!
さすが「現代学園異能」の名付け親だけあって、仕事が早いですのぅ。

追記

トキワ荘の最寄駅は西武池袋線東長崎駅、大泉サロンの場所は知らないが仮に大泉学園駅が最寄りだとすればやはり西武池袋線沿線、そして池袋サロン(仮)はもちろん池袋だから、これら3つの溜まり場が時代を超えて一本の鉄道路線で結ばれることになるのではないか。
では、ミステリ界ではよく知られた地獄荘はどうか? 誰か場所を知っている人がいたら教えてください。

追記の追記(2008/8/23)

上で池袋サロン(仮)と書いたグループの正式名称(?)が公表された池袋に集まるライトノベル作家たち――「いけぬこ研究会」まとめ - ウィンドバード::Recreationで詳しくまとめられているので、参照されたい。

*1:先日、『女帝・龍凰院麟音の初恋』読了後すぐに参加した某オフ会で「池袋サロン」という言葉を使った覚えがあるが、どうせ誰も気にとめていないだろう。

*2:どちらもここのコメント欄で示された見解。

*3:ただし、現物で確認したわけではなく、伝聞情報だ。さすがにシャレで2400円を出す気にはならなかった。