春が来た!

今年の冬は数年来の豪雪で大変だったが、ようやく暖かい春がやって来た。昨日、北海道・根室の積雪、観測最高値の115センチ きょうも局地的荒天−北海道新聞[道内]というニュースが出ていたので、北海道ではまだ春本番とはいかないようだが、よそはよそ、うちはうち。
春の訪れを祝って春にまつわる音楽をいくつか紹介しておこう。特に意味はないが、すべて18世紀フランスの音楽だ。
まずは、啓蒙思想家として知られるジャン=ジャック・ルソーの音楽。

フルート一本で小鳥の囀りや小川のせせらぎなどを表現した、フランス風のエスプリに満ちた知られざる名曲だ。タイトルはそのままずばり「春」。
作曲家としてのルソーの業績で現在広く知られているのは「むすんでひらいて」ただ1曲に限られている。ジャン=ジャック・ルソー - Wikipediaにも「春」への言及はない。ルソー本人が作曲したのではなく他人の音楽を編曲したものなので仕方ないといえばそれまでなのだが、もう少し聴かれてもいい曲ではないかと思われる。
次は今ではほとんど忘れ去られた作曲家、ニコラ・シェドヴィルの音楽で、タイトルはやはり「春」。

ルソーの「春」にみられた優雅さは全く感じられない、ゴツゴツとした無骨な音楽だ。全然フランスっぽくない。
ニコラ・シェドヴィル - Wikipediaを見ると、ミュゼット奏者としては一流だったようだが、少し前の世代のジャン・オトテールがミュゼットが作曲したミュゼットのための音楽と比べると、これはかなり見劣りする。もっとも、「春」はシェドヴィルのオリジナルではなく編曲ものなので、やや割り引いて考える必要があるかもしれない。
最後はミシェル・コレットの「主をほめたたえよ」だ。

歌詞は旧訳聖書の詩篇第148番で特に春とは関係ないのだが、少しでも聴けばこの曲が「春にまつわる音楽」であることはすぐに理解できるだろう。
ミシェル・コレット - Wikipediaによれば、コレットは多作家だったようだが、今ではどれくらい聴かれているのだろうか? 古楽ファンでコレットを知らなかったらモグリだと言われても仕方ない程度の知名度はあると思うのだが……。
以上3曲続けて聴いてみて、この時代ってやりたい放題だったんだなぁと改めて実感。ルソーとコレットの作品は18世紀後半なので時効と言えるかもしれないが、シェドヴィルの「春」は1739年に出版されたものだそうなので原作者はまだ生きていたはず。許可なんて取っていなかっただろう。まあ、「忠実な羊飼い」よりはましか。